オーストラリア

豪州連邦裁判所,ベアリングカルテル事件に係る豪州競争・消費者委員会の民事提訴を受け,日本精工の豪州子会社(NSKオーストラリア)に対し300万豪州ドルの制裁金の支払命令

2014年5月13日 豪州競争・消費者委員会 公表

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【概要】

 豪州連邦裁判所は,豪州競争・消費者委員会(以下「ACCC」という。)による民事提訴を受け,豪州におけるベアリングの価格カルテルに関わっていたとして,NSK Australia Pty Ltd(以下「NSKオーストラリア」という。)に対し,300万豪州ドルの制裁金の支払を命じる同意命令を発出した。
 同裁判所は,遅くとも2000年から2011年5月にかけて,豪州在住の日本人であるNSKオーストラリアの幹部が,他のベアリング事業者であるNachi(Australia)Pty Ltd(以下「不二越オーストラリア」という。)及びKoyo Australia Pty Ltd(以下「ジェイテクト・オーストラリア」という。)の2社とともに,サザンクロス協会(Southern Cross Association)と称する組織で会合(夕食会)を開催していたと認定した。会合は,通常,シドニーやメルボルンの日本料理店において開催され,そこで会合参加者は,価格情報を含む機密情報について話し合っていた。特に,同裁判所は,NSKオーストラリアが不二越オーストラリア及びジェイテクト・オーストラリアとともに,サザンクロス協会の会合において,補修部品市場の顧客向けのベアリングの価格を維持又は操作する目的で,価格情報を交換する旨の合意を2008年5月14日に実施していたと認定した。NSKオーストラリアは,その後,本会合で話し合ったとおり,顧客向けの価格を4%引き上げていたが,同裁判所は,同社が価格引上げについていずれにしても2008年の計画どおり実施していただろうかについては不明であるとしている。また,同裁判所は,NSKオーストラリアが不二越オーストラリア及びジェイテクト・オーストラリアとともに,サザンクロス協会の会合において,補修部品市場の顧客向けのベアリングの価格情報を交換する旨の合意を2009年2月に実施していたと認定した。NSKオーストラリアは,その後,既に発表していた顧客向けのベアリングの価格を2009年2月分から10%引き上げていた。
 なお,同裁判所は,NSKオーストラリアに対し,今後3年間,同様のカルテル行為に関与することの禁止,及び従業員を対象とする競争・消費者法のコンプライアンス・プログラムに係る研修の実施を命じている。NSKオーストラリアは,本件審査期間中,ACCCの審査に協力したことにより,制裁金が大幅に減額された。

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