ドイツ

ドイツ連邦カルテル庁,ドイツのスーパーマーケットEDEKA Zentrale AG & Co. KGが優越的地位の濫用行為を行ったとする決定を行った旨公表

2014年7月3日 連邦カルテル庁 公表

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【概要】

 ドイツ連邦カルテル庁は,EDEKA Zentrale AG & Co. KG(以下「EDEKA」という。)が2009年にPlus store(以下「Plus」という。)を買収した後に納入業者に対して行った,いわゆる「合併リベート(wedding rebates)」の要求は優越的地位の濫用であるとの決定を行った旨公表した。EDEKAは,遡及的な要求を行う,Plusに与えられていた個々の優先条件のうち都合のよいものだけを適用すること,具体的な根拠に基づかずに実質的な協賛金を提供することといった要求を組み合わせることにより,小売業者が納入業者に正当な理由なく利益を提供させることを禁止する,いわゆる「不当な金銭要求禁止(Anzapfverbot)」に違反していた。
 連邦カルテル庁のムント長官は,「本決定により,重要な事件審査が終了し,食品小売分野に重要なメッセージを示した。競争法は,有力な事業者の行動の自由に制限を課している。調達市場における食品小売業者の地位が高い場合には,納入業者は,本件のように食品小売業者に依存することとなるので,食品小売業者は,納入業者に正当な理由なく利益を提供させてはならない。本決定は,効果的な競争を維持することに資し,小規模の競争事業者,納入業者及び消費者を保護することとなる。本件審査は,競争法上許容されている「厳しい交渉(tough negotiations)」と有力な小売業者によって行われる競争法上許容されない行為との間の境界を画定する,又は将来画定することに資する。また,本決定は,ドイツ及びヨーロッパにおける食品小売業者による買い手の交渉力の問題についての議論に貴重な貢献をすることになるだろう。」と述べている。
 EDEKAは,連邦カルテル庁が異議告知書を送付した後,第三者であるREWE Zentralfinanz eG及びTrademark Association (Markenverband)と同様に,同庁の予備的評価に対してコメントを提出した。

中国

中国商務部,企業結合の届出に関する指導意見を改正

2014年6月6日 中国商務部 公表

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【概要】

 中国商務部独占禁止局(以下「独占禁止局」という。)は,2009年1月5日に公表した事業者集中(以下「企業結合」という。)の届出に関する指導意見を改正した旨公表した。
 指導意見の主な改正点は,届出時期,支配株主の判定に関する検討要素,売上高の計算方法及び事前相談制度の追加である。
具体的には,「中華人民共和国独占禁止法」,「国務院による事業者集中の届出基準に関する規定」及び「事業者集中届出弁法」に従い,届出基準に達している集中について,事業者は,企業結合の実施前に中国商務部に届出を行わなければならず,未届出で企業結合を行ってはならない旨規定している。
 また,本件企業結合により支配株主が生じるか否かを審査するため,本件企業結合又は取得先事業者に関する検討要素(合併の目的及び本件に係る今後の計画,株主構成の変化,株主総会,取締役会及び監査役会の活動状況,幹部の任命及び解任,株主と取締役会の関係並びに重要な取引関係や他社との協力関係の有無の検討)を規定し,届出を行う必要があるか否かを決定する要素である企業結合当事会社の売上高の計算方法について詳細な手続を規定している。
 さらに,改正指導意見は,企業結合当事会社から提出される情報に基づき,懸案事項に関し独占禁止局から説明を受けられる事前相談制度を追加しており,企業結合当事会社は,事前相談制度を申請するか否かを選択することができる。

中国SAIC,知的財産権の濫用による競争の排除,制限行為の禁止に関する規定案を公表し,意見募集

2014年6月11日 国家工商行政管理総局 公表

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【概要】

 中国国家工商行政管理総局(以下「SAIC」という。)は,知的財産権の濫用による競争の排除,制限行為の禁止に関する規定案を公表し,意見募集を開始した。
本規定の主な内容は,以下のとおりである。
・ 独占禁止法及び知的財産権の保護は,共通の目的を有する。すなわち,革新と競争を促進し,効率性を向上し,消費者利益と社会公共利益を保護することである。事業者が知的財産権の関連法律及び行政法規に基づき知的財産権を行使する行為には,「独占禁止法」を適用しない。ただし,事業者の知的財産権の濫用による競争の排除又は制限行為には,「独占禁止法」を適用する。
・ 事業者は,知的財産権を行使する過程において独占協定を締結してはならない。
・ 事業者の知的財産権を行使する行為は,次のいずれかに該当する場合,「独占禁止法」第13条第1項第6号及び「独占禁止法」第14条第3号に禁止された独占協定と認定しないことができる。ただし,反対証拠によって当該協定が競争の排除又は制限効果を有することを証明される場合を除く。
 (1) 競争関係を有する事業者のその行為に影響される関連市場での市場占有率が合計20%を超えない,又は関連市場において合理的なコストによりその他の代替技術を少なくとも4つ得られる場合。
 (2) 事業者と取引の相手方における関連市場での市場占有率が30%を超えない,又は関連市場において合理的なコストによりその他の代替技術を少なくとも2つ得られる場合。
・ 市場支配的地位を有する事業者は,知的財産権を行使する過程において,市場支配的地位の濫用により競争を排除又は制限してはならない。
・ 市場支配的地位を有する事業者は,その知的財産権が生産経営活動の必須設備となる状況において,正当な理由がないのに,合理的な条件に基づくその他の事業者による当該知的財産権の使用を拒絶してはならない。
・ 市場支配的地位を有する事業者は,正当な理由がないのに,知的財産権を行使する過程において,取引制限行為,抱き合わせ行為,不合理な制限条件の実施,差別的待遇を行ってはならない。
・ 事業者は,知的財産権を行使する過程において,特許プールによる競争の排除又は制限行為を行ってはならない。
・ 事業者は,知的財産権を行使する過程において,標準の策定及び実施を利用した競争の排除又は制限を行ってはならない。
・ 著作権集団管理組織は,活動を行う過程において,知的財産権の濫用による競争の排除又は制限を行ってはならない。
・ 事業者の知的財産権の濫用による競争の排除又は制限行為を分析・認定する場合,次に掲げる手順を採用する。
 (1) 事業者が知的財産権を行使する行為の性質と現れた形態の確定
 (2) 知的財産権を行使する事業者間における相互関係の性質の確定
 (3) 行使する知的財産権が及ぶ関連市場の画定
 (4) 知的財産権を行使する事業者の市場における地位の認定
 (5) 事業者が知的財産権を行使する行為が関連市場の競争へ与える影響の分析
 SAICは,最高人民法院(最高裁),国家発展改革委員会,商務部,工業情報化部を含む12の中国政府機関から本規定案に対する意見を受領し,中国電信(チャイナ・テレコム),ファーウェイ・テクノロジーズ(中),クアルコム(米),サムスン(韓)を含む中国及び海外の知的財産権に強い19の事業者から意見が寄せられた。また,SAICは,米国商工会議所,米国法曹協会及び様々な国の競争当局に意見を求め,SAICによれば,300件以上の意見及び提案が寄せられた。

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