韓国
韓国公正取引委員会,外国競争当局と協力して,世界第1位と第3位の半導体製造装置メーカーであるAMAT及び東京エレクトロンの合併計画について審査していたが,当事会社が当該合併計画を断念した旨公表
2015年4月29日 韓国公正取引委員会 公表
原文
【概要】
韓国公正取引員会(以下「KFTC」という。)は,半導体製造装置事業者で2012年時点において第1位のApplied Materials Inc.(以下「AMAT」という。)及び第3位の東京エレクトロン株式会社(以下「東京エレクトロン」という。)による合併計画について,両社(以下「当事会社」という。)が2015年4月27日に本件合併計画を断念したことを受け,本件審査を終了する旨公表した。
AMAT及び東京エレクトロンは,2013年9月に経営統合の契約を締結し,2013年11月にKFTCに届出書を提出した。当事会社は,2014年9月,KFTC及び他の競争当局に対し,主に製品レベルで重複する事業を売却するという問題解消措置を提案した。
KFTCは,本件の合併計画について,国内の半導体業界において著しく影響を及ぼす旨判断し,当該合併計画が反競争的であるか詳細審査を行った。KFTCは,韓国及び他国に所在する第三者(顧客及び競争事業者)からのヒアリング,専門家からの助言を求め,また,当事会社の工場(operation)を訪問した。
KFTCは,本件の合併計画について,典型的な水平合併及び混合型合併の観点からだけでなく技術革新の観点から,競争に著しい影響を及ぼす旨判断し,技術革新に与える悪影響について独自に分析した。
(1) 水平的影響
KFTCは,本件の合併計画が実施されると,当事会社の重複する事業分野の多くの市場は,合併後の当事会社が独占する市場,又は合併後の当事会社と競争事業者数社が存在する寡占市場になる旨判断した。
したがって,本件合併により,価格上昇,装置の改良や保守の中止といった副次的な影響を及ぼす可能性が懸念された。
(2) 混合的影響
KFTCは,本件の合併計画が実施されると,当事会社が半導体製造のほぼ全ての前工程を取り扱うことになり,抱き合わせのような反競争的行為によって競争事業者を排除する可能性が高くなる旨判断した。
合併後の当事会社は,半導体製造のリソグラフィ工程(※リソグラフィ工程とは,光を用いてウエハの表面上に特定の回路パターンを形成する過程のこと。)を除く10つの前工程のうち,9つの前工程に関与することになる。
(3) 技術革新の抑制
KFTCは,技術面や規模面で最も優れた事業者同士の合併は,技術革新における競争を減殺し,次世代装置の開発を遅延させる等の可能性が非常に高い旨判断した。
また,本件の合併により,半導体製造業者の新規参入を遅らせ,顧客に損害を与える可能性が懸念された。
KFTCは,製品レベルで重複する事業を売却するという問題解消措置案は,反競争的であるという懸念を一掃するものではない旨結論付けた。
KFTCは,チャンバー,プラットフォーム,ソフトウェア,知的財産,ノウハウ,人的資源等の資産を設備ごとに分離することは,技術上相互に関連していることから非常に困難である旨判断し,たとえ分離することが可能であったとしても,分離売却した資産の購入者が次世代装置を開発することは困難であるとした。大部分の第三者は,KFTCが問題解消措置案の妥当性について2つの市場調査を行っている間,当該問題解消措置案が不十分である旨の異議を唱えた。KFTCは,当事会社に対し,これらの審査結果を数回にわたって伝えたが,当事会社は更なる問題解消措置の提案をしなかったため,関連事業の売却を要請する審査結果報告書を送付していた。