カナダ

カナダ競争局,アップルが電気通信事業者と締結しているiPhoneの販売契約について市場支配的地位の濫用の疑いで調査してきたが,十分な証拠がなかったため,調査を終了したと公表

2017年1月6日 カナダ競争局 公表
原文

【概要】

 カナダ競争局は,2017年1月6日,アップルがカナダの電気通信事業者との間で結ぶiPhoneの販売契約に関して反競争的行為を行っているとの疑いに対する調査を終了したと公表した。
 カナダ競争局は,当該契約によって,電気通信事業者のiPhoneの販売を,それ以外のブランドのスマートフォンの販売に優先しようとする動機に影響を与えることで競争が阻害されたか,また,携帯端末や携帯通信サービスの価格上昇がもたらされたかどうかを調査した。
 しかし,カナダ競争局は,アップルが競争法に照らして市場支配的地位を濫用していると認定するに足る証拠を見つけることができなかった。

ドイツ

ドイツ連邦カルテル庁,楽天によるドイツテレコムの電子書籍プラットフォーム「トリノ」の買収を承認

2017年1月20日 ドイツ連邦カルテル庁 公表
原文

【概要】

 ドイツ連邦カルテル庁は,日本のオンライン小売業者の楽天による,電子書籍プラットフォーム「トリノ」を技術的に運営するための資産の買収を承認した。資産の売り手はドイツテレコムであり,これまでは,書店(Thalia, Weltbild及びHugendubel)向けにクラウド型プラットフォームを運営していた。楽天は約7億人の会員を有する国際的な電子商取引プラットフォームを運営しており,ドイツの電子書籍市場では,電子書店Kobo及び同社の専用の読取端末を用いて活動している。
 Andreas Mundt連邦カルテル庁長官は「トリノはマーケットリーダーのアマゾンと同様,ドイツの電子書籍市場において重要な地位を占めている。しかし,楽天による買収で競争上の問題は生じることはない。楽天は重要なグローバルプレーヤーではあるが,ドイツの電子書籍市場では,これまでのところ比較的小規模な競争単位にすぎない。」と述べている。
 本件買収は,主としてマーケット技術水準,すなわち,読取端末の販売を含む,メディアコンテンツ向けデジタルプラットフォームの運営に影響する。しかし,ドイツ連邦カルテル庁は,電子書籍の小売市場への影響についても調査した。
 ドイツ国内における電子書籍の売上規模は,個人消費者向け書籍の総売上の約5パーセントを占める。アマゾンのキンドルショップは電子書籍配信市場のマーケットリーダーであり,ドイツ国内における電子書籍販売のほぼ半分を占めている。トリノ自体は電子書店は営んでおらず,提携先書店向けの配信プラットフォームを提供しており,ドイツ国内の大小様々な書店が,それぞれ独立して事業活動で利用している。2013年の事業開始以来,トリノのプラットフォームは競争における重要な要因となっている。様々な書店がトリノを用いて販売した売上げは,それらの書店の総売上げのおおむね30~40パーセントを占めている。これに比べれば,楽天のKoboを通じた売上げのシェアは非常に低く,一桁台の前半である。市場内の他の積極的な競合他社には,iBookストアのアップルやPlayストアのグーグルがいる。
 本件買収は専用の読書端末市場における競争の阻害につながるものでもない。アマゾンのキンドルに次いで,トリノの電子書籍リーダーはドイツで2番目に多く売れている専用読取端末であるが,その地位が,楽天の Koboによってもほとんど高まるものではない。タブレット端末やスマートフォンも,アプリを用いて電子書籍を読むことができることから市場への競争圧力を高めている。

ドイツ連邦カルテル庁,食品小売分野における垂直的価格拘束の禁止に関する指針案を公表し,パブリックコメントの募集を開始

2017年1月25日 ドイツ連邦カルテル庁 公表
原文

【概要】

 ドイツ連邦カルテル庁は,実店舗型食品小売販売分野における垂直的価格拘束に関する指針案を公表し,パブリックコメントの募集を開始した。
 2016年に処分した重要事案において,ドイツ連邦カルテル庁は,価格拘束行為を行っていた27の事業者(小売及び製造業者)に対して総額2億6050万ユーロの制裁金を賦課している。
 今回の指針案の目的は,実店舗型食品小売業者に対して,実際の事例に基づき,垂直的価格拘束の禁止の目的及び範囲を説明することにある。指針案の内容は,競争法に関する法的アドバイスを容易に受けられない中小事業者に向けたものである。
 垂直的価格拘束はドイツの競争制限禁止法及びEU競争法で禁じられており,例外的な場合においてのみ,反競争的な協定を禁止する規定の適用が免除されるにすぎない。欧州委員会は垂直制限に関する指針を公表し,その中で,EU競争法における垂直価格制限の禁止規定について解説されている。ドイツ連邦カルテル庁の指針案は,実店舗型食品小売部門に特有の商慣行を踏まえた助言を付すことで,同委員会の指針案を補足している。

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