オーストラリア
連邦取引委員会委員長にジョセフ・シモンズ氏が,同委員にノア・ジョシュア・フィリップス氏,レベッカ・ケリー・スローター氏及びロヒット・チョプラ氏が就任
2018年5月16日 オーストラリア競争・消費者委員会 公表
原文
【概要】
連邦控訴裁判所は,本日,日本企業の矢崎総業がカルテル行為を行っていたとして,同社に対し,第一審判決の金額から増額した4600万オーストラリアドルの制裁金を支払うよう命じた。本件は,オーストラリア競争・消費者委員会(以下「ACCC」という。)が控訴していたものである。本件の制裁金額は,2010年競争・消費者法下において過去最高額である。
第一審裁判官は,トヨタ自動車のカムリの製造に使用されるワイヤーハーネスの供給に関し,矢崎総業が反競争的なカルテル行為を行っていたと判決している。連邦控訴裁判所は,当該判決に対する矢崎総業の交差上訴(cross-appeal)は却下した。
「ACCCは,矢崎総業に対する,4600万オーストラリアドルという過去最高額の制裁金判決を歓迎する。我々は,第一審裁判官が課した制裁金の増額を求めて控訴した。950万オーストラリアドルという当初の制裁金額は,カルテル行為の再発防止には不十分であると考えたからである。」とACCCのロッド・シムズ委員長は述べている。
最初の制裁金聴聞会において,ACCCは,矢崎総業の行為の悪質性及びグローバルな事業規模を考慮すると,総額4200万から5500万オーストラリアドルの制裁金が適切な抑止力になるとの意見を裁判所に提出した。
OECDの最近の報告書では,オーストラリアのカルテル法違反に対する裁判所の平均制裁金額及び最高制裁金額が,他のOECD加盟国と比較して非常に低いとされている。
背景
2012年12月,ACCCは矢崎総業とオーストラリアン・アロー(注:矢崎総業の海外拠点)に対して手続を開始した。
2015年11月24日,連邦裁判所は,トヨタ自動車のカムリの製造に使用されるワイヤーハーネスの供給に関し,2003年及び2008年に矢崎総業がトヨタ自動車への見積りの調整を含む取決めを競争業者と行い,実行したと判決を下した。
2017年5月9日,Besanko裁判官は,矢崎総業に対し,合計950万オーストラリアドルの制裁金を支払うよう命じた。
2017年5月30日,ACCCは,課された制裁金に関して控訴した。矢崎総業も,カルテル行為を行っていたとの判決に対して交差上訴した。