ドイツ
連邦カルテル庁は,Google及びアドブロック提供事業者Eyeoの契約について調査を行ってきたが,当事者が契約を修正したことを受けて,同調査を終了
2019年1月21日 ドイツ連邦カルテル庁 公表
【概要】
連邦カルテル庁は,Google Inc., Mountain View及びEyeo GmbHが反競争的な契約を締結しているとして,オーストリア競争当局と共同で,これらの事業者に対する行政手続による調査を行ってきた。本件手続については,当事者がいわゆるホワイトリスト契約を修正したことを受けて,終了することとした。修正される前の契約では,アドブロックに関するEyeoの事業活動の独立性が著しく制限されていた。
Eyeoは,ウェブブラウザに統合することができ,閲覧しているウェブサイト上に出現する広告を停止するためのプログラム(アドブロッカー)「Adblock Plus」を提供している。また,同社は,広告主及び広告マーケティング業者に対して,特定の広告を停止するプロセスから除外するサービス(ホワイトリスト)も提供している。広告が停止対象から除外されるためには,「容認可能な広告」であるとする特定基準を満たすこと,すなわち,ユーザーの見地から当該広告が煩わしくないと定義づけられることが必要となる。Eyeoは,より大きい規模の広告主又は広告マーケティング事業者に対して,ホワイトリストのサービスに関する料金を請求していた。Eyeoは,同サービスに関する契約をGoogleとも締結していた。
連邦カルテル庁のムント長官は,「連邦最高裁判所は,最近の決定において,アドブロッカーは合法であると判断している。消費者が,自分たちが見ているオンライン広告の種類及び量をコントロールすることに関心を持つのは当然のことである。アドブロッカーの提供は,オンライン広告サービスの競争過程にとって必要不可欠である。アドブロッカーの提供を制限する目的で契約上の規則を設けることは,反競争的であり,容認できない。」と述べている。
連邦カルテル庁は,ホワイトリストに関する契約そのものに問題があるとして,Google及びEyeoに対する行政手続を開始したわけではない。連邦カルテル庁は,Googleとのホワイトリスト契約における追加的な条項により,Eyeoがアドブロッカー製品そのものを開発し,展開し,市場に投資しようとする可能性が制限されることを問題とした。
その後,当事者は契約を修正し,連邦カルテル庁及びオーストリア競争当局は手続を終了することとした。