その他
国際決済銀行G7ステーブルコインに関するワーキンググループは,金融的観点を中心とする課題を指摘する報告書を公表
2019年10月18日 国際決済銀行 公表
原文
【概要】
G7ステーブルコインに関するワーキンググループは,「Investigating the impact of global stablecoins」を公表した。
「金融市場における公正競争」
「革新的な金融商品の導入は,既存の金融機関による市場支配に対抗することで,競争を促進し,消費者の選択肢を広げる可能性がある。他方,グローバル・ステーブルコインの出現は,特に,その仕組みによって,市場集中度を著しく上昇させることになれば,それは競争や競争政策に向けた課題を引き起こし得る。
グローバル・ステーブルコインは,強いネットワーク効果,大規模な運用を確立するために膨大な固定費が必要となること及びデータ利用に関して指数関数的に利便性が向上することによって,市場支配を達成し得る。グローバル・ステーブルコインが,独自のシステムに基づいている場合には,これを利用して当該システムへの参入を禁止したり,参入障壁を高めることが可能となり,市場競争や公平な競争環境に影響し得る。その結果,ステーブルコインを管理している事業者が,様々なサービス利用に係る消費者や事業者の主要な手段(key channels)を管理することになり得る。」
オランダ
オランダ消費者・市場庁は,オランダ決済市場における巨大テクノロジー企業の事業活動に関する市場調査を開始
2019年10月22日 オランダ消費者・市場庁 公表
原文
【概要】
オランダ消費者・市場庁は,オランダ財務大臣の要請により,オランダ決済市場における巨大テクノロジー企業の事業活動に関する市場調査を開始した。調査対象には,Apple, Google, Amazon及びFacebookが含まれる。また,本調査は,Tencent及びAlibabaといった中国の巨大テクノロジー企業がオランダ決済市場に参入する可能性についても調査する予定である。主な調査項目は,①巨大テクノロジー企業によるオランダ決済市場への参入計画の有無,参入計画が有る場合には同計画の内容並びに同計画が消費者及び事業者に与える影響,②新たに利用可能となる決済オプション,③小規模事業者も同市場に参入できる機会が十分にあるかどうかの3点である。
従来,決済市場には,主に大手銀行やクレジットカード会社しか存在しなかった。2019年2月,決済データへのアクセスに関する欧州規定(改正決済サービス指令(PSD2))が施行され,決済市場において,より活発な競争及び技術革新が可能となった。巨大テクノロジー企業による決済市場への参入が,同市場における競争及び技術革新を促進すると期待されている。
オランダ消費者・市場庁は,同時に,巨大テクノロジー企業によるオランダ決済市場への参入が,潜在的な反競争的リスク(例えば,巨大テクノロジー企業が,ある市場で得た強力な地位を別の市場を支配するために濫用する可能性のほか,巨大テクノロジー企業による同市場への参入や,さらには参入すると周知するだけで,他の決済サービス提供事業者による参入を妨げる可能性)を伴うことも十分認識している。
オランダ消費者・市場庁は,本件を専門家に照会した上で,2020年初頭に巨大テクノロジー企業,フィンテック等の金融IT企業及び銀行を中心とする市場参加者向けに調査票を発出し,同年半ばまでに,現在及び将来の決済市場における巨大テクノロジー企業の事業活動に関する知見を共有したいと考える。