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英国
英国競争・市場庁は,Bauer Mediaによるラジオ局4社の買収で生じる広告分野の競争減少に係る問題解消措置案を承認
2020年3月12日 英国競争・市場庁 公表
原文
【概要】
競争・市場庁(以下「CMA」という。)は,Bauer Media(以下「Bauer」という。)によるラジオ局約50局の買収に係る詳細審査を踏まえて,地方のラジオ局の広告表示へのアクセスを確保する。
CMAは,Bauer Mediaが行った,Celador Entertainment Limited,Lincs FM Group Limited及びWireless Group Limitedのラジオ事業並びにUKRD Group Limitedの全事業に係る既往の買収について詳細審査した。本件買収では,First Radio Group Limited(以下「FRS」という。)の50%の株式の買収も含まれていた。FRSは100局超の独立系地方ラジオ局に対し,全国の広告主との取引の機会を提供していた。当該広告主からの売上は,ほぼ全ての独立系地方ラジオ局にとって重要な収入源となっている。
本件買収に係る詳細審査において,CMAは,Bauerにより共同所有されることとなったFRSの将来の存続に関して,競争上の懸念があると判断した。Bauerがラジオ事業者4社を買収したことによって,FRSの事業の半分以上を奪うこととなり,同社の事業は存続の見込みがない。
FRSが廃業した場合,独立系地方ラジオ局の広告表示に係る販売代理店はBauer又はGlobal(英国内の最大手ラジオグループ)の2社のみとなる。このような場合,ラジオ局にとって,国内のラジオ広告の放送時間枠を販売する際に非効率な選択肢しか残らなくなり,さらに,その後は上昇した手数料を支払うおそれがある。
また,CMAは,以前,BauerがWireless’s Signalの107局のラジオ局を買収したことについて,Wolverhampton地域において商品宣伝を希望する地方の広告主向けの競争が減少するおそれがあると表明した。追加調査の結果,このような懸念は見られなかった。
本件については,通常の買収案件とは非常に異なる状況であるため,CMAはBauerに買収したラジオ局を売却するよう求めていない。FRSの顧客基盤を維持するため,Bauerが買収した全てのラジオ局を売却しなければならかったと仮定した場合,CMAは,第三者の購入者が独立系ラジオ局の広告事業において,広告を表示するためにFRSを引き続き積極的競争者とする十分なインセンティブを有さないおそれがあることを懸念していた。
その代わりとして,Bauerは,今後10年間,独立系ラジオ局とFRSとの従来の契約と同等の条件で,同ラジオ局に対し広告代理業務を供給する必要があるとされた。