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英国

英国競争・市場庁は,合併評価ガイドラインの改訂案について,パブリックコメントを開始

2020年11月15日 英国競争・市場庁 公表
原文 原文<諮問文書>

【概要】
 英国競争・市場庁(以下「CMA」という。)は,改訂合併評価ガイドラインのパブリックコメントを開始した。
 改訂合併評価ガイドラインは,CMAが,合併事案に係る執行活動を通して引き続き消費者利益の保護を図ること,また,当事会社が合併や買収を行う前に,CMAが競争上の懸念を抱くおそれがあるかどうかを自ら評価することに有益なものとなる。
 現行の合併評価ガイドラインが2010年に公表されてから,市場は急速なペースで進化・変化し,多くの合併事案の調査はより複雑なものとなった。また,デジタル技術の発展によって,消費者行動や事業者の競争方法も大きく変化した。
 改訂合併評価ガイドライン案は,デジタル分野における合併事案にどのようにアプローチすべきかについて論じた,2019年公表のFurman ReportやLear Report(訳注:CMAが委託し,専門家が取りまとめた報告書であり,デジタル市場における過去の合併事案を分析した結果として,合併審査の見直しが提言されている。)の提言を基に構成されている。例えば,将来の競争に一層焦点を当てること,イノベーションやその他の非価格効果を考慮することが挙げられる。また,同ガイドライン案では,CMAの最近の事案が踏まえられており,既存の法的枠組の中で,合併事案に係る執行活動が改善されることとなる。
 
 現行の合併評価ガイドラインからの主要な変更点は,下記のとおり。
・SLC(significantly lessening of competition)を考慮する可能性のある事例リストの追加
・価格競争及び非価格競争の役割に係る記載の詳細化
・証拠の評価方法の明確化
・両面性プラットフォームの評価に係る記載の詳細化
・潜在的な競争及びイノベーションの評価に係る記載の詳細化
・合併企業の市場閉鎖に係る評価における観点の再枠組化
・対抗的購買力(countervailing buyer power)に関する項の削除
・市場画定の分析方法に関する記載の明確化
 

英国競争・市場庁は,最恵国待遇(MFN)条項を課したとして,価格比較サイト運営業者に対し,約1790万ポンドの制裁金を賦課

2020年11月19日 英国競争・市場庁 公表
原文

【概要】
 英国競争・市場庁(以下「CMA」という。)は,調査の結果,価格比較サイト運営業者であるComparetheMarketが,2015年12月から2017年12月までの間,同社の運営する価格比較サイトを通じて火災保険を販売する事業者に対し,最恵国待遇(MFN)条項を課すことにより,競争法に違反したとして,1791万62ポンドの制裁金を賦課した(訳注:1998年競争法第2条第1項(反競争的協定の禁止)及び欧州連合の機能に関する条約第101条第1項(競争制限的協定の禁止)の規定に違反)。
 同条項により,火災保険会社は,他の価格比較サイトにおいて,より安い価格を設定することを禁止され,ComparetheMarketは,自社の運営するサイト以外における価格の引下げによる影響から保護されることとなった。また,同条項により,ComparetheMarketの競合事業者は, ComparetheMarketと価格競争をすることを制限されたため,既に市場で強固な地位を得ているComparetheMarketに対抗することが困難となった。
 その結果,価格比較サイト運営業者間及び価格比較サイトを通じて火災保険を販売する事業者間の競争が制限された。そして,CMAは,これにより火災保険料の高騰がもたらされたおそれがあると認定した。
 ComparetheMarketの規定した条項は,以下の意義を有していた。

  • 契約を締結した火災保険会社は,他の価格比較サイトにおいて,ComparetheMarketにおいて設定した価格より安価な取引を設定することを禁止された。これにより,価格比較サイト上において競合する全ての火災保険会社からの競争圧力を制限した。
  • 競合する価格比較サイト運営業者は,自社の運営するサイト上において,火災保険会社の価格低下を促すために手数料を引き下げることなどにより, ComparetheMarketと価格競争することを制限された。
  • ComparetheMarketに対する競争圧力が弱められた。当該条項が存在しなければ,同社は,火災保険会社からより安い価格を引き出すために,例えば,手数料の引下げ等の激しい競争を行っていた可能性がある。
 

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