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英国

英国競争・市場庁は,英国政府に対し,「デジタル市場における競争促進のための新たな規制」(A new pro-competition regime for digital markets)に係る15の提言を発出

2020年12月8日 英国競争・市場庁 公表
原文

【概要】
 英国競争・市場庁(以下「CMA」という。)は,2020年12月8日,英国政府に対し,「デジタル市場における競争促進のための新たな規制」(A new pro-competition regime for digital markets)に係る15の提言を行った。
 同提言は,2020年3月に英国政府から委託を受けたCMAの主導の下,英国情報通信庁(Ofcom),情報コミッショナー事務局(ICO)及び金融監督機構(FCA)と協働して検討が進められ,CMA内にあるデジタル市場タスクフォースによって策定された。
 同提言は,「戦略的市場地位」(strategic market status)にある巨大プラットフォーム事業者(以下「SMS事業者」という。訳注:英国内における年間売上高が10億ポンド超かつ全世界における年間売上高が250億ポンドであり,オンラインマーケットプレイス,アプリストア,SNS,ウェブブラウザ,オンライン検索エンジン等の事業を営むこと等を総合的に考慮して指定される。)に対する規制強化を念頭に置いている。また,CMAのほか,2021年4月にCMA内に発足することが予定されているデジタル市場ユニット(以下「DMU」という。)が,規制枠組みにおける中心的な役割を担うこととなる。
 同提言を受けて,英国政府は2021年初頭から「競争促進のための新たな規制」についての検討を開始し,DMUに対して規制に係る権限を付与するための法制化に向けた作業に着手する。
 
SMS事業者に対する規制強化に係る15の提言のうち,重要な3本の柱
① 各SMS事業者の特質に対応した法的拘束力のある新たな行動規約の策定

当該行動規約は,DMUの監督下におかれ,有力なプラットフォーム事業者の行動を規定し,他の事業者と取引を行う上での留意点を定め,ユーザーの脅威となる要素を事前に把握するのに役立つ。これによって,DMUは,高額な制裁金の賦課を含めた,あらゆる懸念に対処できる幅広い権限を有することになる。

② 市場における競争を活発にし,変革的なイノベーションをもたらすための競争促進的な介入

そのような介入の一例として,有力なプラットフォーム事業者に対し,相互運用性義務を課すことで,消費者がデータの管理及び共有をできるようにすることが挙げられる。

③ CMAが,SMS事業者が関与する企業結合事案についてより詳細に審査できるようにするための企業結合規制の強化

本強化策には,CMAへの事前届出の義務付け,CMAによる審査が終了するまでの買収の禁止,過去に有力なプラットフォーム事業者が関与する企業結合事案に対して抑制的な執行(under-enforcement)を行ってきたことへの懸念に対処するための,消費者に対する損害の可能性をより慎重に判断する法的テストの導入も含まれている。

 

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