2023年5月

その他

英国

CMA、デジタル市場に関する助言を受ける専門家として、Rod Sims元ACCC委員長など9人を任命

2023年2月23日 英国競争・市場庁 公表

原文

【概要】

 英国・競争市場庁(CMA)は、技術革新、オンライン競争、世界最強の事業者の一部による市場支配に取り組む最前線の専門家を任命した。
 
 これは、オンライン市場の問題により迅速に対処し、消費者が自由で公正な競争の恩恵を受けられるようにするため、CMAが政府から新たな権限を与えられる準備を進めていることを反映している。これは、例えば、被害が発生してから問題に取り組むのではなく、むしろ最も強力な事業者が従わなければならない適切な規則を制定することができるようにすることを意味している。
 
 CMAに助言を与える専門家は、以下のとおりである。
 
・    Annabelle Gawer主任教授 サリー大学サリービジネススクール デジタル経済学部教授、デジタル経済センター長
・    Anja Lambrecht教授 ロンドン・ビジネススクール マーケティング学部教授
・    Neil Lawrence教授 ケンブリッジ大学DeepMind(機械学習)学部教授、アラン・チューリング研究所シニアAIフェロー
・    Geoffrey Myers ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス&ポリティカル・サイエンス客員教授、英国情報通信庁(Ofcom)の元競争経済担当ディレクター
・    Mark Nottingham インターネット標準の専門家、インターネット技術タスクフォースへの貢献者、ワールドワイド・ウェブ・コンソーシアム(W3C)の理事会メンバー
・    Nigel Shadbolt  オックスフォード大学ジーザスカレッジ校長、オックスフォード大学コンピュータ・サイエンス学部教授研究員、オープン・データ・インスティテュート会長
・    Rod Sims オーストラリア国立大学クロフォード校公共政策学部教授、オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)前委員長
・    Dina Srinivasan 研究者、弁護士、イェール大学サーマン・アーノルド・プロジェクト・フェロー。
・    Mahlet Zimeta データ及びテクノロジー政策の専門家、オープン・データ・インスティテュート元公共政策責任者、王立協会上級政策顧問。


  Will Hayter CMA デジタルマーケットユニット(Digital Markets Unit)担当シニアディレクターは、次のように述べた。
 
「我々は、英国の消費者及び事業者が、公正な競争によってのみもたらされるオンライン市場のイノベーションの恩恵を引き続き享受できるように取り組んでいく。オンライン市場の動きは速く、競争ルールが現在に適合しているだけでなく、将来のデジタルの課題にも対応できるようにする必要がある。そのために、我々は、洞察と助言を与えてくれる一流の専門家を招聘している。デジタル市場で措置を採り続け、新しい競争促進体制を準備するために、同専門家及び政府と協力することを楽しみにしている。」


CMA、環境サステナビリティ協定に関するガイダンス案の意見募集を開始

2023年2月28日 英国競争・市場庁 公表

原文

【概要】

 CMAが公表した環境サステナビリティ協定に関するガイダンス案は、事業者が安心して環境目標を達成するのに資することが期待されている。
●CMAは、環境サステナビリティに向けた事業者の取組を支援するガイダンス案を公表し、意見募集を開始した。
●CMAは、事業者からの環境サステナビリティ協定に関する相談にもより力を入れて対応し、相談者に対して個別の助言を提供する用意がある。
●カーデルCMAチーフエグゼクティブは、次のように述べた。
「本ガイダンス案は、事業者が競争法に抵触するのを過度に恐れることなく、気候変動などに関する協定が競争法上問題とならない場合についての予測可能性を高めるのに資するものである。」
 
 2022年3月、CMAは、英国政府に対して環境サステナビリティに関する提言を発出した。その一環として、CMAは、サステナビリティ目標に向けて事業者が連携する際に、何が適法で、何が適法でないかをより明確にする必要があることを明らかにした。
 
 EUからの離脱は、CMAに対して、これまで以上に事業者に安心感を与え、環境サステナビリティ協定に関連する(CMAの)執行アプローチを明確にする機会を与えた。
 本日(2023年2月28日)、CMAが提案した新たなガイダンス案は意見募集にかけられた。同ガイダンス案は、サプライチェーンの同じレベルでビジネスを行う事業者間の環境サステナビリティ協定に競争法がどのように適用されるかを説明している。この新しいガイダンスは、一般的に、事業者が競争法に抵触するのを過度に恐れることなく、気候変動や環境サステナビリティについて行動を起こすことを支援するものである。
 
 サラ・カーデルCMAチーフエグゼクティブは、次のように述べた。
「気候変動への取組と環境サステナビリティの促進は、CMA及び英国内の多くの事業者にとって優先事項である。我々(CMA)は、事業者が気候変動問題に協力して取り組むために更に努力したいと思いながらも、競争法によって、連携して取り組むことが妨げられるのではないかと懸念する声を聞くことが多くなっている。我々は、このような事業者が競争法違反をむやみに恐れることなく、共に問題に取り組むことができるよう支援することを約束する。
 本ガイダンス案は、我々がこれまで行ってきたことよりもさらに踏み込んだものである。気候変動への対応に真に貢献する協定が競争法上問題とならない場合について、事業者に対してより確実性をもたらすものである。また、環境サステナビリティを促進する協定に関与する事業者は、懸念がある場合、我々に相談することができる。我々はそうした事業者に対して個別のアドバイスを提供できることを保証する必要がある。」
 
 カーデルCMAチーフエグゼクティブは、2023年1月に開催されたスコットランド競争フォーラム(Scottish Competition Forum)におけるスピーチの中で本ガイダンス案を公表する計画を明らかにしていた。また、最新の年次計画案の中でも、CMAは英国のネット・ゼロへの移行を支援することを2023年の重要目標のうちの1つとして掲げている。
 
 ガイダンス案の中で、CMAは、ある事業者が他の事業者と環境サステナビリティに関するイニシアチブで連携する際に、自らの意思決定に役立てることができる明確な実務例(working examples)を提供している。CMAは、このガイダンスに沿った協定については好意的(look favorably)に受け止め、執行対象として優先させる可能性は極めて低い旨を説明している。また、ガイダンス案では、オープンドア・ポリシー(open-door policy)と称して、事業者がCMAに対して非公式な助言を求めることを促している。
 
 ガイダンス案は、事業者間の水平協定に関するより広範な文書の一部である。これは、CMAのサステナビリティ・タスクフォースが2022年3月に政府への環境サステナビリティ・アドバイスを発表した後に行った作業に続くものである。
 ガイダンス案については、2023年4月11日を期限として意見募集を実施している。

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