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韓国

大韓弁護士協会及びソウル地方弁護士会の所属弁護士に対する広告制限行為に是正命令及び総額20億ウォンの課徴金を賦課

2023年2月23日 韓国公正取引委員会 公表

原文 (韓国語)

【概要】
 韓国公正取引委員会(以下「KFTC」という。)は、大韓弁護士協会(以下「大韓弁協」という。)及びソウル地方弁護士会(以下「ソウル弁護士会」という。)が、所属弁護士に特定の法律サービスのプラットフォーム(弁護士検索等をオンラインで提供するプラットフォーム、以下「法律プラットフォーム」という。)の利用の禁止及び脱退を要求する方法で構成事業者の広告活動を制限した行為に対して、是正命令とともに課徴金各10億ウォン(暫定)を課すことを決定した。
 
1 行為事実
〇大韓弁協は、2021年5月、所属弁護士の法律プラットフォームの利用を規制する目的で、「法秩序違反監督センター規定」等の関連規定(以下「広告規定」という。)を制定・改正した。
まず、2021年5月3日に、大韓弁協は、理事会決議を通じて「法秩序違反監督センターの規定」を制定したほか、「弁護士業の無広告規定」を全部改正して「弁護士広告に関する規定」に名称変更し(施行は2021年8月)、2021年5月4日に自身のホームページを通じて公表した。その後、2021年5月31日の臨時総会決議を通じて「弁護士倫理章典」を改正し、同年6月1日に自身のホームページを通じて公表及び施行した。

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〇大韓弁協は、㈱ローエンカンパニーが運営する法律プラットフォームであるロートークに加入した所属弁護士1,440人を対象に、広告規定等への違反を理由として、2021年8月11日から同年10月1日まで、4回にわたって疎明書及びロートークからの脱退(確認)書の提出を要請し、期限内に提出しない場合には調査委員会に回付する予定であることを通知した。
 その後、大韓弁協は、2021年10月5日に特別調査委員会を発足させ、依然としてロートークに加入し活動中である所属弁護士220人余りを調査して厳正に措置する予定との内容の報道資料を同月7日に配布し、これらの弁護士に対する懲戒を予告した。大韓弁協は、2022年10月17日に、所属弁護士9人に係る懲戒(譴責~過料300万ウォン)を議決するなど、ロートーク加入弁護士を実際に懲戒した。
 
〇ソウル弁護士会は、大韓弁協が改正した「弁護士広告に関する規定」が施行される前の2021年5月27日、全構成事業者を対象に、上記規定の遵守を求め、ロートーク等の法律プラットフォームから脱退することを要求し、具体的な脱退手続まで案内し、上記規定に合わせて自身の「弁護事業の無広告基準に関する規定」も改正する予定であることを通知した。
 ソウル弁護士会は、大韓弁協が「弁護士広告に関する規定」を改正する前である2021年2月から4月まで、自身の職域守護活動の一環としてロートークの運営者に対してはロートークの運営の中止を要請し、ロートークへの広告出稿企業6社に対してはロートークが「弁護士法」に違反しているとの内容の文書を発送していた。
 その後、2021年7月9日、自身の全構成事業者を対象に、法律プラットフォームからの脱退を要請する内容の文書を発送した。
 
2 違法性の判断
 大韓弁協及びソウル弁護士会による本件行為は、構成事業者の広告活動を直接的に制限した行為であり、構成事業者の事業活動を過度に制限し、構成事業者間の公正かつ自由な競争を制限した行為に該当する。
 大韓弁協及びソウル弁護士会は、構成事業者である所属弁護士が義務的に登録(加入)しなければならない団体であり、所属弁護士が会則等を遵守しない場合、懲戒を実施し又はこれに関与できるなど、構成事業者に対して相当な影響力を行使できる地位にある。したがって、大韓弁協及びソウル弁護士会が、ロートーク等の法律プラットフォームを利用するかどうかを自由に決定できる構成事業者に対し、当該サービスからの脱退を要求し、未脱退時の懲戒を予告した行為は、当該サービスの利用の禁止を実質的に強要したものであるため、構成事業者の事業活動を過度に制限する行為に該当する。
 また、本件行為は、相互に競争関係にある弁護士が消費者に自己を知らせる広報手段である広告を制限する行為であり、弁護士間の自由な競争も制限すると同時に、法律サービスを利用する消費者の弁護士選択権も制限した。
 
3 法の適用が除外される行為か否か
 独占規制及び公正取引に関する法律(以下「公正取引法」という。)第116条(法令に基づく正当な行為)と表示・広告の公正化に関する法律(以下「表示広告法」という。)第6条(事業者団体による表示・広告の制限行為の禁止)において、他の法令に基づく正当な行為については、法の適用を除外するよう規定している。
 一方、KFTCは、本件の審議過程において、次の点を考慮し、本件行為が前記の公正取引法の適用が除外される弁護士法に基づく正当な行為ではないと判断した。
①弁護士法第23条において、明示的に、コンピュータ通信等の各種媒体を利用した弁護士広告を原則として許容している点
②ロートークサービスが広告型プラットフォームとして弁護士法に違反することが確認されないにもかかわらず、大韓弁協等がロートークの利用の禁止及び脱退を要求した行為は、法令の範囲内で正当になされた必要かつ最小限の行為であると認めるのが困難な点
③弁護士法においては、大韓弁協に広告規定の制定権限(第23条第2項第7号)及び所属弁護士に対する懲戒権を委任(第92条、第95条)しているのみである。そして、ロートークが広告型プラットフォームとして弁護士法に違反しないという点は、弁護士法の所管省庁である法務省の発表(2021年8月24日)で確認されているにもかかわらず、恣意的にロートークを弁護士法違反とし、所属弁護士のロートーク利用広告を一律に制限したところ、これは弁護士法の委任の範囲外であると認められる点
 
4 適用法条
 公正取引法第51条第1項第3号(構成事業者の事業活動の制限行為)
 表示・広告法第6条第1項(構成事業者の表示・広告の制限行為)
 
5  意義及び今後の計画
 今回の措置は、事業者団体が構成事業者に特定プラットフォームの利用禁止及び脱退を要求する方法により広告を制限した行為を制裁した最初の事例であり、法律サービス市場に新たに出現した法律プラットフォームを通じた弁護士らの自由な広告活動を制限し、消費者の選択権を制限した行為を摘発して是正したことに意義がある。
 特に、KFTCは、今回の措置において、関連法令において委任した権限を逸脱した行為によって、関連市場における競争を制限する行為が、関連法令に基づく正当な行為に該当しないことを明らかにした。

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