その他

英国

CMA、メタ及びアマゾンから提出された確約を承認

2023年11月3日 英国競争・市場庁 公表

原文

【概要】

 英国競争・市場庁(以下「CMA」という。)は、2023年11月3日、アマゾン及びメタという2社の大手テック企業に対する別個の審査の結果、それぞれから提出された確約を承認した。これらの確約は、アマゾン・マーケットプレイス及びフェイスブック・マーケットプレイスという各小売プラットフォームにおける公正な競争を保護するのに役立つであろう。
 
1 アマゾン・マーケットプレイス
 CMAがアマゾンから得られた確約は、サードパーティのマーケットプレイス出品者が対等な競争条件で競争し、英国の顧客が最良の取引にアクセスできるようにするために役立つ。
 アマゾンでは、シチュー鍋から化粧品に至るまで、大半の販売が「Buy Box」を通じて行われている。マーケットプレイスを利用するサードパーティ出品者に「Buy Box」に掲載される公平な機会を与えるという確約は、顧客が魅力的な商品のオファーを逃さないようにするために役立つ。
 また、アマゾンは、サードパーティ出品者から得たマーケットプレイスのデータを使用して自社に不当な競争上の優位性を与えることを禁じられ、かつ、出品者がプライム・デリバリー・サービスを提供する独立の物流事業者と独自の配送料金を直接交渉できるようにする。これらの確約の履行は、CMAによって承認される独立したトラスティー(監視人)によって監視される。
 2022年7月、CMAは、アマゾンが英国有数のオンライン小売プラットフォームとしての地位を濫用している旨の懸念について審査を開始した。これには、アマゾンが、アマゾン・マーケットプレイスを利用する競合事業者に対して自社の小売事業を不当に有利に扱い、また、競合関係にある物流事業者ではなくアマゾン独自の倉庫・配送サービスを利用する出品者に対して不当な利益を与えている旨の懸念が含まれていた。2023年7月、CMAは当該審査に当たって、アマゾンが提出した確約に関する意見募集手続を実施した。
 
2 フェイスブック・マーケットプレイス
 メタは、自社が広告主のデータを不当に利用することを禁ずる確約にも署名しており、これは、企業ひいては消費者が保護されていることを意味する。このような措置を講じなければ、メタは不公正な競争上の優位性を持ち、競争を歪めるおそれがある。
 今後、メタのプラットフォームに広告を出すフェイスブック・マーケットプレイスの競合事業者は、フェイスブック・マーケットプレイスの改善にデータが使用されることからオプトアウト(訳注:データの使用を拒否すること)することができる。
 メタは、競合事業者に対して広告データの使用に関する選択権を与えるだけでなく、商品開発時に広告データの使用方法を制限することを確約した。その結果、メタは、広告主により販売される商品又はサービスと競合する場合に、当該広告主の広告データを利用し、不当な優位性を得ることはできない。
 
3 サラ・カーデルCMAチーフエグゼクティブは、次のように述べた。
「我々(CMA)は、人々と企業に利益をもたらす方法で、我々の懸念が建設的に解決されたことを歓迎するとともに、(議会審議中の)「デジタル市場、競争及び消費者法」が施行されれば、このような解決策がより多く見られることを期待している。」
 
4 アン・ポープCMAシニアディレクター(執行担当)は、次のように述べた。
「アマゾンから提出された確約は、何千もの英国のサードパーティ出品者がアマゾンの小売部門と対等な競争条件で競うことを支援するものであるため、我々はアマゾンの確約を承認した。これは、顧客が最良の商品にアクセスできることを意味する。
 メタから提出された確約は、同社が不当な優位性を得るために広告主の広告データを搾取しこれによって競争を歪めるのを防ぐことを意味する。
 出品者、広告主、顧客等からのフィードバックを評価した結果、我々はメタ及びアマゾンが、英国において我々が抱いていた競争上の懸念に対処していると確信している。」

ページトップへ