その他
韓国
大韓航空及びアシアナ航空の是正措置不履行に対する制裁
2025年12月23日 韓国公正取引委員会 公表
【概要】
1 韓国公正取引委員会(以下「KFTC」という。)は、大韓航空及びアシアナ航空が企業結合の承認条件として課された是正措置のうち、「2019年比で供給座席数を90%未満に削減することを禁ずる」とする義務に違反した行為について、履行強制金(注1)を賦課することを決定した。
(注1) 事業者間の企業結合において競争制限のおそれがある場合に課される是正措置が履行されなかったときに科される金銭的制裁のこと。
3 KFTCは、当該企業結合を承認するに当たり、競争制限のおそれが高い国際26路線及び国内8路線について、次の構造的措置及び行動的措置を併せて課した。
(1) 構造的措置
企業結合の実行日から10年間、競争制限のおそれが高いと判断された路線のスロット(注2)及び運輸権(注3)を代替航空会社(注4)に開放する。
(注2) 各航空当局が航空会社に割り当てる航空機の出発又は到着時間を指し、航空会社は割り当てられた時間に空港施設を利用する権利を有する。
(注3) 特定の国に就航することができる航空会社の権利をいう。
(注4) 2026年1月6日に、国土交通部及びKFTCが、スロット及び運輸権の移転先となる代替航空会社を指定した。
(2) 行動的措置
構造的措置が完了するまで、供給座席数の削減禁止、平均運賃の引上げ制限、座席間隔や無料受託手荷物等の主要サービスの品質維持等を遵守する。
4 行動的措置のうち、「供給座席数の削減禁止」は、単に運賃引上げを制限するだけでは、企業結合当事会社が供給座席数を削減するなどの迂回的手段により、実質的な運賃引上げ効果を得るおそれがあることから課された措置である。
5 これに基づき、大韓航空及びアシアナ航空は、企業結合の実行日から構造的措置が完了するまでの期間、各年度における供給座席数を2019年の同期間と比較して90%未満に削減してはならないことが義務付けられた。
6 KFTCは、大韓航空とアシアナ航空の企業結合において構造的措置を講じた路線について、供給座席数の削減禁止義務違反の有無を調査した。その結果、2024年12月12日から2025年3月28日までの期間において、〈仁川=フランクフルト〉路線で両社が供給した座席数は、2019年の同期間と比べて69.5%にとどまり、基準値である90%を20.5%下回っていた事実が確認された。
7 これを受け、KFTCは、大韓航空に対して履行強制金58億8000万ウォン(約6.3億円)、アシアナ航空に対して5億8000万ウォン(約0.6億円)(注5)をそれぞれ賦課した。これにより、事業者の警戒心が高まり、再発防止に向けて供給座席数管理が徹底されることを期待する。
(注5)2025年8月3日、KFTCは、アシアナ航空に対し、2025年第1四半期に平均運賃の引上げ制限を遵守していなかったことを理由に、履行強制金121億ウォン(約13億円)を賦課するとともに、同社を刑事告発した。
8 KFTCは、大韓航空及びアシアナ航空の是正措置遵守期間(2024年12月から2034年12月までの10年間)を通じて、是正措置の履行状況を厳格に点検し、航空機を利用する消費者の権益保護に万全を期す方針である。
スペイン
グーグルに対する出版社及び通信社の報酬に関するコミットメントの受入れ
2025年12月19日 スペイン全国競争委員会 公表
原文
1 概要【概要】
スペイン全国競争委員会(以下「CNMC」という。)は、グーグルが、Google Search、Google News及びGoogle Discover(以下総称して「ENP」(注1)という。)並びにGoogle News Showcase(以下「GNS」(注2)という。)において報道記事を掲載する際に、出版社との交渉において支配的地位を濫用していたか否かについての調査を行っていた。具体的には、グーグルが、不公正な条件を課していた、また、自社のサービスが利用者にとって出版社のデジタルコンテンツにアクセスする上で極めて重要な流通経路であることを背景として、報道出版社の経済的依存関係を悪用していた可能性があった。
グーグルが提出したコミットメントは、出版社に対する報酬交渉の透明性を高め、スペイン競争保護法(以下「競争保護法」という。)に整合するものとなっている。CNMCは、競争保護法に規定された「和解による手続終結制度(conventional termination)」を用いて、本件手続を終結させた。
(注1)グーグルがニュース出版者と契約を締結し、ライセンス料を支払うことにより、検索結果等においてより詳細なニュースの抜粋を表示する仕組み。
(注2)グーグルが、全国の新聞社及び通信社の主要ニュースを、アプリ又はウェブサイト上で一覧できるようにするサービス
2 決定内容
CNMCは、スペインの出版社及び通信社との交渉における支配的地位の濫用の可能性についてグーグルを調査していた制裁手続について、和解による手続終結を承認した。
これにより、グーグルは、ENP及びGNSにおいて報道記事を掲載するに当たり、出版社及び通信社と交渉する際にはスペインの規制に適合した、より透明かつ公平な制度に基づく、CNMCに提出したコミットメントを履行しなければならない。
当該コミットメントの有効期間は5年間であり、そこから更に5年間更新することが可能である。また、これらのコミットメントは、グーグルと過去に契約を締結していたか否かを問わず、全てのスペインの出版社及び通信社に適用される。
CNMCは、これらのコミットメントが市場における競争を改善し、知る権利(right to information)の保護に資するものであると指摘している。
3 事案の経緯
本件調査は、スペインの著作権管理団体であるCEDRO(Spanish Reprographic Rights Centre)がCNMCに対して行った申立てを契機として開始された。2023年3月28日、CNMCは、出版物の利用に関するライセンス契約を交渉・締結する過程において、グーグルが出版社に対して不公正な取引条件を課していた可能性があるとして、正式な調査を開始した。
あわせて、CNMCは、ENPやGNSを通じて多くの利用者が報道機関のニュースにアクセスしている状況を踏まえ、当該行為が、法令違反又は経済的依存関係の不適切な利用を通じて市場の正常な機能を歪め、公共の利益を阻害していた可能性についても調査を行っていた。
4 コミットメントの主な内容

5 手続の法的性質
本件は、競争保護法第52条及び同施行規則第39条の規定に基づく和解による手続終結によって処理されたものであり、CNMCによる違反認定又は制裁金の賦課は行われていない。本決定は、違反の宣言や金銭的制裁を含むものではなく、グーグルが提出したコミットメントを拘束力のあるものとして組み込み、その履行監視をCNMC内の競争局(Competition Directorate)に委ねる内容となっている。