米国

連邦取引委員会,特許合意を巡る第三巡回区控訴裁判所判決に関する声明を発表

 2012年7月16日 連邦委員会 公表

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【概要】

 連邦取引委員会Jon Leibowitz委員長は,高血圧治療薬の新薬メーカーとジェネリック薬メーカーとの間の特許合意(patent settlement)に関し,第三巡回区控訴裁判所のパネルが下した重要な判決について,「第三巡回区控訴裁判所は,事案を正しく理解してくれたようだ。これらの談合(sweetheart deals)は,反競争的であり,連邦取引委員会経済局の推計によると,アメリカの消費者に対し年間で約35億ドルも高い医療費を負担させている。多数の議員が提案しているようにこれらの取引を規制すれば,連邦議会予算事務局によると,10年間で約50億ドルの連邦政府債務を減らすこととなるだろう。製薬会社が消費者側に報いる時が来たのだ。」と述べた。
 同控訴裁判所は,当該治療薬を巡る特許合意の適法性について争った民事訴訟において連邦地裁が下した棄却判決を破棄した。同控訴裁判所は,判決において,新薬メーカーから競合するジェネリック薬メーカーに支払われたリバースペイメントは,「不当な取引制限の明白な証拠(prima facie evidence)」であると述べた。
 連邦取引委員会は,昨年,連邦地裁の分析は,反トラスト法の原則だけでなく,特許法及びハッチ・ワックスマン法(ジェネリック薬の承認の迅速化と新薬の特許期間の延長を規定した法律)の方針にも反しているとして,連邦地裁の棄却判決を破棄するよう求めるアミカス・ブリーフを同控訴裁判所に提出していた。

司法省,自動車部品の価格カルテルに関して,ドイツ企業が有罪答弁を行うことに同意したことを公表

 2012年7月30日 司法省 公表

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【概要】

 司法省は,ドイツの自動車製造業者2社が購入し,米国で販売する自動車に取り付けられる,シートベルト,エアバッグ及びハンドルの価格カルテルに関して,米国TRW Automotive Holdingsの子会社でドイツ所在のTRW Deutschland Holdingが有罪答弁を行い,510万ドルの罰金支払に同意したことを公表した。同社は,少なくとも2008年1月から2011年6月までの間の価格カルテルに関与したとされている。
 なお,司法省による自動車部品の価格カルテル等に係る審査では,今回を含めこれまでに7社,10人の幹部が有罪答弁を行っている。

連邦取引委員会,競争法事案の金銭的救済に関するポリシーステートメントを撤回

2012年7月31日 連邦取引委員会 公表

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【概要】

 連邦取引委員会(以下「FTC」という。)は,2003年に公表した競争法事案における衡平法上の金銭的救済に関するポリシーステートメントを撤回した。同ステートメントは,競争法事案において,どのような場合にFTCが不正利得の返還(disgorgement)等の衡平法上の金銭的救済を求めるかについて概説していた。
 同ステートメントにおいて,金銭的救済は例外的な事案において適用するとされており,実際にFTCが不正利得の返還を求めた件数は,同ステートメント公表後2件にとどまっていた。また,FTCが不正利得の返還を検討するに当たっては,(1)競争法違反が明らかかどうか,(2)金銭的救済の額を計算するための合理的な根拠があるかどうか,及び(3)他の民事又は刑事訴訟による救済で反トラスト法の目的を完全に達成できるかどうかという三要素が示されていたところ,これらの要素のうち,(1)及び(2)が金銭的救済を求める際の制約になるおそれがあった。
 FTCは,同ステートメント撤回後,金銭的救済の活用について十分な指針を提示している既存の判例法に準拠していくことになる。

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