米国
連邦取引委員会,Googleと和解
2013年1月4日 連邦取引委員会 公表
【概要】
連邦取引委員会(以下「FTC」という。)は,Googleに対する反トラスト審査について,同社がFTCの懸念を解消するための事業慣行の変更に合意したことから,審査を終了する旨を公表した。
Googleは,FTCとの同意命令案において,スマートフォン,ラップトップコンピューター,タブレットコンピューター,ゲーム機といった人気の高い機器を製造する際に必要不可欠な標準技術に関する特許について,公正,合理的かつ非差別的な条件(FRAND条件)で競争事業者にライセンスするとの事前の誓約を遵守することが義務付けられ,FRAND条件に基づきライセンスした標準必須特許の使用を阻むために,裁判所又は米国国際貿易委員会(ITC)に差止請求を行うことが禁じられる。
また,Googleは,検索広告主が,GoogleのAdWordsプラットフォームと,他社広告プラットフォームにおける広告キャンペーンを同時に管理できるようにAdwordsの利用制限を解除すること,及び全てのウェブサイト運営者に対し,Googleの垂直検索(専門分野の検索)結果にオンラインコンテンツを転用・記載しないよう求める,「オプトアウト」のオプションを提供することを自主的に申し出て,FTCはこれを受理した。
一方,FTCは,Googleがショッピング検索や地域情報検索といった特定の検索に対し,自社の展開するサービスを目立つように表示する,「ユニバーサル検索」を導入したこと,及び特定の垂直ウェブサイトを下位に表示するために検索アルゴリズムを変更したことについては,たとえそれが個々の競争事業者に悪影響を与えた可能性があるとしても,自社製品を改善し,ユーザーサービスを向上させるイノベーションとして正当化され得るとして,何ら措置は採らないとした。
連邦取引委員会,ハート・スコット・ロディノ法に基づく企業結合の事前届出基準及びクレイトン法第8条の役員兼任の禁止基準についての年次改定を公表
2013年1月10日 連邦取引委員会 公表
【概要】
連邦取引委員会は,ハート・スコット・ロディノ法に基づく企業結合の事前届出基準及びクレイトン法第8条の役員兼任の禁止基準について,GNPの変化に基づく年次改定を公表した。企業結合の事前届出については,取引規模基準が6820万ドル以上から7090万ドル以上へと引き上げられた。また,役員兼任の禁止基準については,当事会社それぞれの資本金,剰余金及び未処分利益の合計額が2888万3000ドル以上とされた。
連邦取引委員会新委員にJoshua D. Wright氏が就任
2013年1月11日 連邦取引委員会 公表
【概要】
連邦取引委員会は,J. Thomas Rosch委員の後任にJoshua D. Wright氏が就任したことを公表した。任期は2019年9月25日までである。
Joshua D. Wright氏は,George Mason University School of Lawの法律学教授であった。
司法省,Anheuser-Busch InBevによるGrupo Modeloの買収計画について,差止めを求めて提訴
2013年1月31日 司法省 公表
【概要】
司法省は,ベルギーのビール製造販売事業者Anheuser-Busch InBev(以下「ABI」という。)による,メキシコの同業者Grupo Modelo(以下「Modelo」という。)の買収計画について,本件が実施されると,米国全体及び26の大都市圏のビール市場における競争が実質的に減殺されるとして,買収計画の差止めを求めてコロンビア特別区連邦地裁に民事提訴したことを公表した。
米国で最も売れているビールBud Light を販売するABIと最も売れている輸入ビールCorona Extra を販売するModeloは,米国のビール販売市場において,それぞれ第一位と第三位のシェアを占めている。司法省によると,ABIが値上げしてもModeloは追随しないなど,ModeloはABIに対し値下げ圧力を提供しており,重要な競争相手であるとされるところ,本件買収が実施された場合,ビール市場における集中度が高まり,ABIの市場支配力が増し,そしてABIとその他大規模事業者との間の協調的行動が促されることとなる結果,ビール価格が上昇し,イノベーションの停滞がもたらされるおそれがあるとした。