米国
司法省,USエアウェイズ及びアメリカン航空の合併案の差止めを求めて提訴したことに関する反トラスト局長の声明を公表
2013年8月13日 司法省 公表
【概要】
ビル・ベーア司法省反トラスト局長は,US Airways(以下「USエアウェイズ」という。)及びAmerican Airlines(以下「アメリカン航空」という。)の合併案に対する差止訴訟の提起に関し,概要以下のとおり声明を公表した。
今朝,司法省,6州及びコロンビア特別区の司法長官がアメリカン航空及びUSエアウェイズの合併案を阻止するため,ワシントン特別区連邦地方裁判所に提訴した。我々は,本件合併により世界最大の航空会社が誕生し,米国において大手航空会社が3社のみとなることによって米国の民間旅客航空市場における競争を実質的に減殺させると判断し,本日,本件訴訟を提起した。我々は,運賃及び手数料の上昇並びにサービスの低下を招く本件合併を承認することは断じてできない。
アメリカの消費者は,昨年,国内線のフライトに700億ドル以上支払っており,本件合併による航空券,預け手荷物及びフライトの変更に係る手数料の上昇は,アメリカの消費者に数億ドルもの損害をもたらすだろう。仮に,本件合併計画が実施されれば,消費者は,USエアウェイズ及びアメリカン航空が,大都市から小都市までの数千の路線で直接競合していることによって享受している利益を失うだろう。
USエアウェイズは,消費者が他の航空会社の直行便の代わりにUSエアウェイズの経由便を利用する場合は,最大40%を値引きすることによって精力的に競争している。大手航空会社3社(アメリカン航空,デルタ航空及びユナイテッド航空)はUSエアウェイズによるこのような攻撃的な値引きを好ましく思っていない。本件合併が実施されれば,アドバンテージ運賃と呼ばれるUSエアウェイズの積極的な値引きはなくなるだろう。多くのハブ空港を有する最大の航空会社として,今説明した通り合併企業は値引きするインセンティブが失われ,価格の上昇を招き,今日,値引きプログラムから利益を享受している何百万もの旅行者にとって選択肢が減り,本件サービスの低下を招くだろう。消費者は,今日,USエアウェイズ及びアメリカン航空が競合して直行便を運行している路線においても,今以上の運賃を支払うだろう。我々は,過去の合併事例から,直行便において直接的な競争が排除されることが,結果として,消費者にとって実質的な価格上昇を招くことを知っている。
本件合併を認めれば,同種の運賃が上昇されることが予測される。例えば,USエアウェイズ及びアメリカン航空は,シャーロット,ノースカロライナ及びダラス・フォートワース間において競合する直行便を運行している。消費者は,当該路線のみで1年当たり300万ドルを追加的に支払うこととなろう。
USエアウェイズの幹部は,アメリカン航空が自社自身で経営する能力について承知している。また,USエアウェイズの幹部は,アメリカン航空が破産手続を経た強い会社であり,独立して生き残る能力があることについて疑いを持っていなかった。さらに,USエアウェイズ自身も独立した会社として成功することができるため,合併は必要ではないと述べていた。
本件合併を阻止するために,本日,我々が起こした訴訟は,消費者に対し,彼らが頼ってきた重要な産業における競争を維持する上で最善の機会を与えるものである。
司法省,アップルの電子書籍における価格協定について連邦地裁が命じた問題解消措置に関する反トラスト局長による声明を公表
2013年9月6日 司法省 公表
【概要】
ビル・ベーア司法省反トラスト局長は,ニューヨーク南地区連邦地方裁判所がアップルの非合法行為に対処するために問題解消措置を講ずる命令を発出したことに対し,以下のとおり声明を公表した。
「我々は,連邦地方裁判所がアップルの非合法な価格協定行為に対処した司法省の努力を支持する命令を発出したことを喜ばしく思う。消費者は,この重要な産業において競争を回復させるために行われた司法省の執行活動の結果,電子書籍の価格がより低くなることによる利益を享受し続けるだろう。将来の反トラスト法に対するコンプライアンスを確保するために外部の監視要員を任命することによって,連邦地方裁判所はアップルによる更なる不正行為から消費者を守ることとなる。今回の連邦地方裁判所の判決により,司法省が消費者のために勝ち得てきた勝利はさらに強固なものとなる。」
連邦裁判所は,アップルに対し,共謀した大手出版社5社(Hachette Book Group(USA),HarperCollins Publishers L.L.C.,Holtzbrinck Publishers LLC(Macmillan),Penguin Group(USA) Inc.及びSimon & Schuster Inc.)との現在の契約について,[1]小売価格の競争を認め,電子書籍価格の上昇につながった最恵国待遇(MFN:Most-Favored-Nation)条項を削除するよう改めること,[2]共謀する出版社間における情報ルートとしての役割を果たすこと又は電子書籍を代理店方式で販売することを拒否した出版社に対し報復行為を行うことの禁止,[3]同社の競争事業者が販売する電子書籍の販売価格を上昇させ得る契約を電子書籍出版社と結ぶことの禁止,[4]アップル内部の反トラスト法・コンプライアンス・ポリシーにより,消費者に被害を与える前に将来における反競争的活動を捕捉できるように,外部から監視要員を任命することを命じた。
司法省,自動車関連部品における価格カルテルに関して,ジーエスエレテックの幹部1名及びフジクラの幹部2名を起訴し,日系自動車部品メーカー9社が関与を認め,日系自動車部品メーカー2社の幹部2名が有罪答弁に同意した旨公表
2013年9月11日,9月19日,9月26日 司法省 公表
【概要】
1 司法省は,自動車関連部品における反トラスト法違反について,ジーエスエレテック(愛知県豊田市) の幹部1名が,米国向け自動車に組み込まれるABS(Antilock Brake System)に使用される部品に係る価格カルテル及び談合に関与していたとして,ケンタッキー州(Covington市)大陪審が同人をケンタッキー東地区連邦地方裁判所に訴追した旨公表した。ジーエスエレテックは,自動車製造に係る電機部品の製造,組立及び販売を営む者であり,同人は遅くとも2003年1月から少なくとも2010年2月までにかけて,ABSを備えた自動車に組み込まれる速度計付ワイヤについて,米国内及びその他の地域におけるトヨタ及び北米トヨタへの販売に関し,他者と共謀して談合を行い,販売価格を固定,安定及び維持させていた。
2 司法省は,自動車関連部品における反トラスト法違反について,フジクラ(東京都江東区)の幹部2名が,ワイヤーハーネスに係る価格カルテルに関与していたとして,ミシガン州(デトロイト市)大陪審が同人らをミシガン州東地区連邦地方裁判所に訴追した旨公表した。フジクラは,自動車用のワイヤーハーネスの製造を営む者であり,同人らは遅くとも2005年9月から少なくとも2010年2月まで,富士重工により米国その他で販売される自動車に組み込まれるワイヤーハーネスについて,他者と共謀して談合を行い,富士重工に販売する者を決定し,その後も連絡を取り合い合意した内容を監視し,実施していた。
3 司法省は,自動車関連部品における反トラスト法違反について,日系自動車部品メーカー9社(日立オートモーティブシステムズ,ジェイテクト,ミツバ,三菱電機,三菱重工,日本精工,ティラド,ヴァレオジャパン及び山下ゴム)及び日系自動車部品メーカー2社の幹部2名が,米国自動車メーカー(日本メーカーの米国子会社を含む。)により米国その他で販売する自動車に組み込まれる合計30品目以上の自動車関連部品に係る価格カルテルに関与していたことを認め,総額7億4000万ドル超の罰金を支払うことに同意した旨公表した。
自動車関連部品に係るカルテルについては,これまで法人20社,個人21名が起訴されており,捜査は継続中である。20社が支払うことを認めた罰金の総額は16億ドル以上であり,個人21名のうち17名は禁錮刑を命じられ又は禁錮刑に服することに同意している。