米国

連邦取引委員会,製薬会社ノバルティスによる同業者グラクソ・スミスクラインの抗がん剤事業の買収について,条件付きで承認

2015年2月23日 連邦取引委員会 公表
原文

【概要】

 国際的な製薬事業者Novartis AG(以下「ノバルティス社」という。)は,同社による同業者GlaxoSmithKline(以下「GSK社」という。)の抗がん剤製品群の買収計画(160 億ドル)について,競争を制限するおそれがあると主張する連邦取引委員会(以下「FTC」という。)に同意して事件を終結させるため,現在開発中のBRAF阻害薬及びMEK阻害薬に関する全ての資産をコロラド州ボルダ―に所在するArray BioPharma(以下「アレイバイオファーマ社」という。)に対し売却する旨合意した。
 BRAF阻害薬及びMEK阻害薬は,悪性黒色腫の治療のために単剤で使用され,次第に併用薬として用いられる。また,両阻害薬は,他の様々ながんの治療にも使えるよう更なる開発が進められている。FTCは,その申立書(complaint)において,「スイスに所在するノバルティス社及びロンドンに所在するGSK社は,現在,BRAF阻害薬及びMEK阻害薬のいずれも市販し又は開発している数少ない事業者のうちの2社であり,悪性黒色腫の治療薬として両阻害薬の併用薬を市販し又は開発している3社のうちの2社である。今回の買収を計画どおりに実施した場合,ノバルティス社はBRAF阻害薬及びMEK阻害薬の併用薬だけでなく両阻害薬の単剤の開発を遅延又は終結させることになるだろう。したがって,ノバルティス社によるGSK社の抗がん剤製品群の買収計画は,米国のBRAF阻害薬及びMEK阻害薬市場における競争を著しく阻害するおそれがあり,最終的に消費者向けの販売価格を引き上げ,より優れた薬剤を消費者が入手する機会を奪うことになる。」旨主張している。
 同意命令案の条件に基づき,ノバルティス社は,BRAF阻害薬及びMEK阻害薬の開発が確実に継続し当該市場における競争を減殺させないことを確保するため,アレイバイオファーマ社に対し,事業を移管するためのサービスを提供するよう義務付けられた。
 今回の審査過程において,FTCの職員は,今回の買収計画の分析及び想定し得る問題解消措置に関して,オーストラリア,カナダ及び欧州連合の競争当局と密接に協力した。本調整の結果,世界規模で互いに矛盾しない処理(compatible approach)がなされ,FTC及び欧州委員会は,アレイバイオファーマ社を資産売却先として承認することとなった。

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