米国
米国司法省は,政府調達に係る反トラスト法違反行為に特化した組織Procurement Collusion Strike Forceの設立を公表
2019年11月5日 米国司法省 公表
原文
【概要】
米国司法省は,2019年11月5日,政府による調達,助成及び資金調達に係る反トラスト法違反行為(入札談合及び関連する不正な行為等)の防止,探知,調査及び訴追に特化した新たな組織(Procurement Collusion Strike Force(PCSF))を設立したことを公表した。
同省のDelrahim反トラスト局長は,同日開催された記者会見において,PCSFについて,反トラスト局及び13の地区連邦検事局出身の検事並びに連邦捜査局(FBI),国防総省監察総監室,米国郵政公社監察総監室及びその他の提携する連邦政府監察総監室出身の調査官で構成される組織横断的な共同体であると説明した。
PCSFは,反トラスト法違反の脅威及び関連する犯罪から,税金で賄われている連邦,州及び地方レベルの事業を守るという全国的な取組において,主導的な役割を果たすこととなる。まずは,13地区に焦点を当てる。反トラスト局及び参加する地区連邦検事局出身のPCSFに属する検事は,FBI 及び提携する連邦政府監察総監室出身の調査官とともに,調達過程における反トラスト法違反の危険性について,調達担当者及び政府の契約当事者向けに広報活動及び研修を行う予定である。加えて,当該検事及び調査官は,アウトリーチ活動を通じて,探知した事案を共同で調査及び起訴することとなる。
米国司法省は,大学教員の引き抜き禁止協定に関する集団訴訟における最終判決について声明を公表
2019年11月8日 米国司法省 公表
原文
【概要】
2019年9月25日,ノースカロライナ州の連邦地方裁判所は,大学教員の引き抜き禁止協定に関する集団訴訟において最終判決を下し,当事者の和解合意を承認し,米国司法省反トラスト局が差止めや和解合意に定められたコンプライアンス対策を執行することを認めた。本件は,デューク大学とノースカロライナ大学間における相互のメディカルスクールの教員の争奪を行わないとする協定について争われたものであり,今回の和解は,米国司法省の訴訟参加が成功した結果である。
今回の和解条件に基づき,大学は,違法な大学教員の引き抜き禁止協定に加わることなどが禁止される。また,今回の和解は,デューク大学に対し,将来にわたってこの種の反競争的協定に加わることを防止するため,厳格な通知やコンプライアンス対策の実施を求めている。本判決は,米国司法省反トラスト局に今回の和解に定められた差止めを執行する権利を与えている。
2019年3月,米国司法省反トラスト局は,本件訴訟において,意見書(Statement of Interest)を提出し,シャーマン法に基づく従業員の引き抜き禁止の適法性の判断基準を含む,反トラスト法の適切な適用について述べた。同年4月,訴訟当事者は,本件訴訟の和解合意を公表した。同年5月,同局は,提案された和解に加わることで,デューク大学に対して裁判所によって下される差止命令を執行する権利を獲得するという目的に限って,本件訴訟に成功裏に参加するという前例のない一歩を踏み出した。