米国
米国司法省は,自動車部品製造事業者ZFによる同業のWABCOの買収計画について,民事提訴にて禁止を求めるとともに,WABCOの事業売却等を要求する和解案を提出
2020年1月23日 米国司法省 公表
原文
【概要】
米国司法省反トラスト局は,1月23日,ZF Friedrichshafen AG(以下「ZF」という。)及びWABCO Holdings Inc.(以下「WABCO」という。)に対し,ZFがWABCOの買収計画を続行するため,WABCOの北米におけるステアリング部品事業であるR.H.Sheppard Co.Inc.,と他の関係するWABCOの資産の売却を要求した。両社が売却をしなければ,本計画は,北米における大型商用自動車に使用されるステアリングギアの供給事業者間の競争が排除されることとなると,同局の訴状では主張している。
米国司法省反トラスト局は,本日,コロンビア特別区連邦地方裁判所に,当該合併計画の禁止を求めて民事上の反トラスト訴訟を提起した。同時に,同局は,裁判所によって認められた場合,同局が訴状で主張する競争阻害性について解消することとなる和解案を提出した。
米国司法省反トラスト局の申立てによれば,大型商用自動車に不可欠なステアリングシステム部品であるステアリングギアの供給事業者は,北米においては,ZF及びWABCOの2社のみである。当該ステアリングギアはトラックやバスの前輪に作用し,先進運転支援システム(以下「ADAS」という。)のステアリング機能に係る主要部品である。走行レーンの保持の補助等のADASステアリング機能は,今日既に実用化されており,企業が自動車の自動運転を開発するにあたり,引き続き重要な分野であると期待される。また,同局の申立てによれば,ZFとWABCOとの競争は,低価,高品質,サービスの向上及びより望ましい契約条項につながるとともに,当該競争によって,現在及び将来のADAS技術の開発に欠かせない機能の開発につながるイノベーションが育まれてきた。さらに,同局の申立てによれば,ZFとWABCOの企業結合によって,北米における大型商用自動車の製造事業者にとって,上記部品の十分な競争上の代替取引先が存在しないこととなり,高価格で,望ましくない契約条項となり,研究開発の取組が減退するおそれがある。和解案では,ZF及びWABCOは,WABCOの子会社R.H.Sheppardの全資産及びWABCOが保有するステアリングギアに関する資産を売却しなければならないとされている。