米国
米国連邦取引委員会及び米国食品医薬品局(Food and Drug Administration)は,バイオ医薬品市場における競争を促進するための共同声明に署名
2020年2月3日 米国連邦取引委員会 公表
原文
【概要】
2月3日,米国連邦取引委員会Joseph J. Simons委員長及び米国食品医薬品局Stephen Hahn長官は,バイオ医薬品市場における競争を促進するための共同声明に署名した。
Simons委員長は,「バイオ医薬品は,多くの重篤な疾患の治療に不可欠である。バイオ医薬品市場における慣行は,バイオ後続品(訳注:先発バイオ医薬品と同等の品質,安全性,有効性をもつ医薬品)の利用を遅らせ,その結果,価格の下落や技術革新の進展といった競争により得られる患者の利益を奪っている。米国連邦取引委員会は,バイオ医薬品及びバイオ後続品を含むヘルスケア市場において,引き続き反トラスト法の執行に全力で取り組む。」と述べた。
バイオ医薬品は,重篤な疾患の治療に用いられ,処方箋医薬品の中で最も急成長し,かつ最も高額なセグメントのうちの一つである。主に化学合成を行って製造される低分子医薬品とは異なり,バイオ医薬品は微生物,植物及び動物の細胞内部で作られる。大半のバイオ医薬品は,非常に大きく複雑な分子であり,遺伝子組換え技術を用いて製造されているものも多い。ジェネリック医薬品と同様に,バイオ後続品は,先発医薬品と比較して,その安全性や効果等において,臨床的に有意な違いはない。
本声明に基づき,米国連邦取引委員会及び米国食品医薬品局は,バイオ医薬品及びバイオ後続品市場における更なる競争を促進するために連携しこれらの医薬品の開発に必要とされるサンプル品へのアクセスを妨害する行為を防止し,これらの医薬品に関する虚偽又は誤解を招く情報に適切に対処し,これらに関連した特許和解合意について審査することとなる。
米国連邦取引委員会は,ジェネリック医薬品の価格競争を確保するため,長年,法執行や唱導活動に尽力してきたことから,医薬品市場における活発な競争に資する市場メカニズムに関する幅広い専門知識を有している。また,同委員会は,バイオ医薬品に関する競争上の問題を研究している。
米国司法省反トラスト局は,T-MobileによるSprintの買収計画について,ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所が,州司法長官らによる差止請求を棄却したことを歓迎
2020年2月11日 米国司法省 公表
原文
【概要】
ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所のVictor Marrero裁判官は,ニューヨーク州等一部の州司法長官による,T-MobileとSprintの企業結合計画の禁止を求める申立てを棄却した。Marrero裁判官は,判決の中で,米国司法省反トラスト局が提示した問題解消措置案を重要な要素として引用し,本措置案により,Dish Network(コロラド州に拠点を置く衛星放送事業者)はモバイル通信事業者(MNO)として第4位の地位を安定して築くことができる旨等述べている。
米国司法省反トラスト局は,2019年7月26日,T-MobileとSprintの合併計画を禁止するよう,コロンビア特別区地方裁判所に民事訴訟を提起すると同時に,裁判所に承認されれば,反トラスト局が有する競争上の懸念が解消される問題解消措置案を提出した。本措置案には,アーカンソー,コロラド,フロリダ,カンザス,ルイジアナ,ネブラスカ,オハイオ,オクラホマ,サウスダコタ及びテキサスの各州を代表する司法長官が賛同した。
本措置案に基づき,T-Mobile及びSprintは,Dish Networkに対し,①Sprintのプリペイド事業(「Boost Mobile」,「Virgin Mobile」及び「Sprint Prepaid」を含む。)の売却,②資産(周波数)の一部売却,③少なくとも2万の基地局(cell sites)及び数百店の小売店舗の譲渡,④Dish Networkが独自に5Gネットワークを確立するための7年間,同社によるT-Mobileへの接続の確保を実施しなければならない。
なお,米国連邦通信委員会(Federal Communications Commission)も,調査の結果,いくつかの措置の実施を条件に,本計画を承認している。