米国

米国司法省は,コネクテッドカー向け5G技術の推進のために提案されたライセンス・プラットフォームに関し,ビジネスレビューレターを発出

2020年7月28日 米国司法省 公表
原文

【概要】
 司法省反トラスト局は,本日,自動車業界において第5世代移動通信システム(5G)技術をライセンスするためのAvanci(訳注:2016年9月に設立されたラインセス・プラットフォームの運営組織)の新たなプラットフォーム(訳注:パテントプール)について,反トラスト法に係る検討を終了したことを公表した。同検討の一環として,司法省反トラスト局は,自動車メーカー,自動車部品メーカー,潜在的なライセンサーなどの幅広い利害関係者から聴取し,他の類似の新技術に係るパテントプールに発出された過去のレターについても考慮した。司法省は,Avanciの提出した文書に基づけば,Avanciの5Gプラットフォームが競争を阻害するおそれはないと結論付けた。
 司法省が発出したビジネスレビューレターによると,Avanciの5Gプラットフォームは,自動車メーカーに対し,5G技術のライセンスを「ワンストップ」(one stop shop)で提供することにより,自動車のコネクティビティに関連した標準必須特許をより効率的にライセンスできる。
 また,このプラットフォームは,特許侵害の可能性を減少させるほか,5Gの仕様である「リリース15」の開発に重要な貢献をした特許権者に,そのイノベーションに対する報酬の支払を保証する。そして,Avanciは,ライセンサーとライセンシーの双方の意見を踏まえ,特許技術について,FRAND料率に基づいたライセンス料請求すると表明した。
 さらに,Avanciは競争の保護に資する多数のセーフガードを5Gプラットフォームに組み込んでいる。当該セーフガードには,技術上必須となる特許のみをライセンスすること,必須特許について独立した評価を実施すること,本プラットフォーム以外でのライセンスを許可すること(5G技術を組み込んだ自動車以外の他の分野において使用するためにライセンスすること,本プラットフォームのメンバーがライセンスすること及び自動車部品メーカーに対する他のパテントプールを形成することを含む。),競争上機微な情報の共有を防止するメカニズムを形成することが含まれている。司法省の検討において,プラットフォームの特許の必須性に係る評価は,自動車メーカーがコネクテッドカーの製造に必要なライセンスを取得するに当たり有益となり得ることが確認された。また,本プラットフォームのライセンスには,自動車メーカーがライセンスを取得した上で,当該自動車メーカーと取引する自動車部品メーカーが標準必須特許に新たにアクセスできるようにする「Have Made」権が含まれており,当該権利により,自動車部品メーカーは特許侵害をすることなく5Gのコネクテッドカー向け部品を製造することが可能となる。
 なお,司法省は,通常特許ライセンスの保証を自動車部品メーカーに依存している自動車業界において,自動車メーカーを中心とするAvanciのライセンスモデルが成功するかについては評価を行っていない。
 本ビジネスレビューにおける司法省の結論は,Avanciの5Gプラットフォームのみに適用されるものであり,5G関連の特許ライセンスに関する標準又は取決めについての他の合意又はイニシアティブには適用されない。また,司法省は,Avanciの5Gプラットフォームの実際の運用が目的又は効果の面で反競争的であると判明した場合,反トラスト法に基づき異議を唱える権利を留保している。

 

 

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