最近の動き(2021年7月更新)

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米国,欧州,カナダ,英国の競争当局等は,製薬業界における企業結合分析の多国間タスクフォースに関するパブリックコメントを開始

2021年5月11日 米国連邦取引委員会,カナダ競争局,欧州委員会,米国司法省 公表
原文(米国連邦取引委員会) 原文(カナダ競争局) 原文(欧州委員会) 原文(米国司法省)

【概要】
 米国連邦取引委員会,カナダ競争局,欧州委員会競争総局,英国競争・市場庁,米国司法省反トラスト局及び米国の3州の司法長官(以下「各国競争当局等」という。)は,製薬業界の企業結合の影響を分析するための考え方の更新について検討するため,パブリックコメントを開始した。
本件について,各国競争当局等が公表しているところ,その概要は,下記のとおり。
 
 2021年3月,各国競争当局等は,製薬業界の企業結合の分析方法を見直し,改定するための具体的かつ実行可能な手順を示すために,「製薬業界における企業結合分析の多国間タスクフォース」(以下「多国間タスクフォース」という。)と称されているワーキンググループ(以下「本プロジェクト」という。)を立ち上げたことを発表した。本プロジェクトによって,各国競争当局等は,製薬業界における企業結合が引き起こす様々な競争上の懸念を詳細に分析し,それに対処していくための新しいアプローチを取り入れることができる。本プロジェクトは,緊密な協力関係にある各国競争当局,関連する経験を有する他の機関等の専門知識を活用するものである。
 
 多国間タスクフォースは,医療政策の専門家,経済学者,弁護士,科学者,医療従事者,学識経験者及び消費者を含む一般の人々が,将来の法執行及び政策の取組の発展につながるアイデアを共有することを奨励している。そこで,多国間タスクフォースは,以下の一般的な問題を提起し,製薬業界の企業結合の影響に関する問題について,パブリックコメントを実施することとした。

  1. 製薬業界の企業結合を分析する際に,現在想定されている競争制限発生のメカニズム(Theories of harm)を拡張すること等に関して,競争当局はどのような理論を考慮すべきか。
  2. 製薬業界における企業結合がイノベーションに対して及ぼす影響の範囲はどこまでか。例えば,製薬会社が独占的な医薬品の開発や製造プラットフォームに関連する企業結合の場合,どのような課題が生じるか。
  3. 企業結合審査において,薬価カルテル,リバース・ペイメント,その他製薬会社が規制を悪用するなどの製薬業界特有の行為のリスクや影響をどのように考慮する必要があるか。
  4. 製薬業界の企業結合における市場画定について,どのようにアプローチすべきか,また,それは,現在の又は新たな競争制限発生のメカニズムとどのように関連付けられるのか。
  5. 新たな又は発展した競争制限発生のメカニズムに基づいて,製薬業界の企業結合を審査し,当該企業結合を認めない決定を行うためには,どのような証拠が必要か。
  6. 新たな競争制限発生のメカニズムが適用される場合,有効な問題解消措置はどのようなものか。
  7. 競争上の懸念を解消する可能性や資産売却の成否について,例えば売却対象の資産の範囲や買手企業の特徴等,どのような要素が影響するのか。

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