米国
FTCは、処方箋薬の中間業者に関する調査を開始し、大手薬剤給付管理業者(PBM)6社に対して、ビジネス慣行に関する情報の提出を要求することを公表
2022年6月7日 米国連邦取引委員会 公表
原文
【概要】
米国連邦取引委員会(以下「FTC」という。)は、2022年6月7日、処方箋薬の中間業者に関する調査を開始し、大手薬剤給付管理業社(以下「PBM」という。)6社に対して、ビジネス慣行に関する情報の提出を要求することを公表した。本調査では、垂直統合されたPBMが処方箋薬の入手と購入可能性に与える影響を精査する。本調査の一環として、FTCは、CVS Caremark、Express Scripts, Inc.、OptumRx, Inc.、Humana Inc.、Prime Therapeutics LLC及びMedImpact Healthcare Systems,Inc.に報告命令を送付する。
本調査は、米国の医薬品システムの中心にあるPBMの役割を調査する。PBMは、製薬会社とのリベートや手数料の交渉、採用医薬品集と関連指針の制定、患者の処方箋に対する薬局へ薬剤費の支払を行う中間業者である。最大規模のPBMは、現在、最大規模の健康保険会社と垂直統合されており、通信販売を行い、スペシャルティ薬局(複雑な疾患の治療に使用され、流通経路が限定され、高額になる傾向があるスペシャルティ薬剤を取り扱う薬局)を完全に所有していた。
こうした役割の中で、PBMは、患者に処方される薬剤、患者が利用可能な薬局、最終的には患者が薬局窓口で支払う金額に大きな影響を及ぼすことが多い。これらの多くは、非常に複雑で不透明な契約関係に依拠しており、処方箋薬システム全体を通して、患者や事業者PBMを理解することは困難又は不可能である。
本調査は、近年注目を集めている、以下のような複数の慣行を明らかにすることを目的としている。
・PBMと提携していない薬局(以下「独立系薬局」という。)から請求される薬剤費
・患者をPBM所有の薬局に誘導する方法
・独立系薬局に対する不公正な監査の可能性
・薬局への薬剤費決定する際の複雑で不透明な方法
・薬剤の事前調達のための患者数の把握及びその他行政上の制限への対応
・スペシャルティ薬品集及び関連するスペシャルティ薬採用方針の使用方法
・製薬会社からのリベートや手数料が、処方様式や、保険会社及び患者に対する処方薬費用に与える影響
FTCの調査は、2022年2月24日に開始されたPBMに関する情報提供依頼に応じて蓄積された膨大な公的記録を基に実施される。FTCには、これまで24,000件以上の意見が寄せられている。
FTCは、特定の法執行目的なしに調査を実施する権限をFTCに与えるFTC法第6b条に基づく命令を出している。企業は、命令を受けてから90日以内に回答をする必要がある。
FTCは、賛成5、反対0で、法第6b条に基づく命令を発し、PBMのビジネス慣行に関する調査を実施する。なお、FTC法第6b条は、特定の法執行目的なしに調査を実施する権限をFTCに与えており、企業は、命令を受けてから90日以内に回答をする必要がある。