公正取引委員会並びに欧州委員会通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局及び競争総局の間の協力取決め
背景
(1)公正取引委員会は、日本の競争当局であり、「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」(通称「スマホソフトウェア競争促進法」)(2024年法律第58号)の施行を担当している。特に、公正取引委員会の官房参事官(デジタル担当)は、特定ソフトウェアを提供する事業者による本法に基づく義務の遵守を確実にする役割を担っている。(2)通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局は、欧州委員会のデジタル政策を担当する総局であり、競争総局は、欧州委員会の競争政策を担当する総局である。通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局と競争総局は、欧州議会及び理事会の2022年9月14日付け規則(EU)2022/1925(デジタル分野における公正かつ競争可能な市場に関する規則)(「規則2022/1925」)の施行を、それぞれの局を通じて共同で担当している。具体的には、通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局のD局が「オンライン・プラットフォーム経済」を、競争総局のJ局が、「市場及び事例 VI:デジタルプラットフォーム」をそれぞれ担当しており、特に、指定コアプラットフォームサービスを提供する事業者による本規則に基づく義務の遵守を確実にする役割を担っている。
(3)公正取引委員会並びにDG CNECT、及びDG COMP(以下「参加者」という)は、それぞれが所管する事前規制型のデジタル市場に関する法律、すなわちスマホソフトウェア競争促進法及びデジタル市場法の適用に関する事項について、参加者が情報交換を通じて協力していく。
1 目的及び適用範囲
1.1参加者の協力は、それぞれスマホソフトウェア競争促進法及びデジタル市場法の適用を支援するものであり、各法の目的に沿う範囲で、市場の競争可能性、競争、そして公正性の促進を目指すものである。1.2本協力取決めは、適用法令で認められる範囲において、第2条に掲げる協力分野に関する規制事項について、情報交換を通じて協力するための枠組みを確立することを目的とする。また、確立された枠組みにより、優良事例や過去の課題・経験、手法、技術的なシステムやツールに関する情報の共有も促進されることが期待される。
1.3本協力取決めは、第7条に規定される、規制対象企業及び進行中の調査に関するものを含む、機密情報の交換については適用されない。本協力取決めに基づき、参加者の一方から他方に提供された公開情報以外の情報は、提供した側の機関が意図した目的の範囲内でのみ、受け取った側の機関が使用するものとする。
2 協力分野
2.1 第1条に掲げる目的を追求するため、参加者は、デジタル市場に関する規制事項、特に以下の共通関心分野に関する情報の交換を通じて協力する。1. スマホソフトウェア競争促進法及びデジタル市場法のデジタルプラットフォームへの適用(適用規定の実施に関するベストプラクティスと過去の課題を含む)。
2. 指定デジタルプラットフォームの行動に関する市場情報を収集及び解釈するための実践方法及びツール(技術監査、行動科学の知見、利害関係者のフィードバック、及び/又は構造的な市場指標の利活用を含む)。
3. 調査ツール、手法及び適正手続の枠組み(データへのアクセス、防御権、透明性義務を含み、管轄区域間の規制対象事業者への一貫した対応を確保する)。
パラグラフ3 協力の形態
3.1 参加者は、第7条に定める適用される機密保持規則に従い、他の参加者に関連があり、かつ本協力取決めの対象範囲に該当する情報を、相互に共有することができる。3.2 参加者は、定期的及び臨時の会合(対面形式を含む)、特定のテーマに関する技術専門家による対話、職員の共同研修、ベストプラクティスの共有などを通じて、情報交換を行うことにより、このような協力を実施する意向であり、共同調査、職員交流、及び協調的な研究プロジェクトの実施も検討することができる。
4 連絡窓口
4.1 参加者は、本協力取決めの実施を円滑にするため、それぞれ連絡窓口を指定する。4.2 参加者の当初の連絡窓口は、以下のとおりである。
・通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局:
・競争総局:
・公正取引委員会:
4.3 参加者は、本協力取決めに関する全ての書面による連絡を、それぞれの連絡窓口又はそれぞれを代行する者に送付するものとする。
4.4 各参加者は、関連する管理上の詳細(新たな連絡窓口を含む)の変更について、書面により他の参加者に通知するものとする。
5 性質
5.1 本協力取決めは、国際法又は国内法に基づくいかなる権利又は義務も発生させるものではない。また、各参加者はいつでも本協力取決めを中止することができる。。6 資金及び資源
6.1 本協力取決めは、いずれの参加者にも財政上の影響を及ぼすものではなく、また、一方の参加者から他方への資金提供の根拠を構成するものではない。各参加者は、本協力取決めに関連する費用を各当局の予算の範囲内において自己負担するものとする。7 機密保持
7.1 参加者は、本協力取決めに基づき提供され又は受領した情報、データ、文書その他の資料(いかなる形式においても)を、当該情報、データ、文書その他の資料に適用される法令に従い、機密情報として扱うものとする。これは、本協力取決めが秘密情報の交換に関係するものではないという理解に影響を与えるものではない。7.2スマホソフトウェア競争促進法及びデジタル市場法に基づき調査対象の事業者及び第三者から取得した機密情報(特に営業秘密)は、情報元が明示に同意した場合を除き、提供してはならない。
英語で2通の原本に署名
関連ファイル
(令和7年7月23日)欧州委員会との協力取決めへの署名について(89 KB)
公正取引委員会並びに欧州委員会通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局及び競争総局の間の協力取決め(正文(英語)).docx (583 KB)
公正取引委員会並びに欧州委員会通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局及び競争総局の間の協力取決め(仮訳(日本語)) (152 KB)