下請法 知っておきたい豆情報 その4
【振込手数料について】
Q 下請代金を下請事業者の銀行口座に振り込む際に,親事業者が注意すべき点は?
A 振込手数料を負担するのは誰か(今回の豆情報),下請代金の支払日が銀行の休業日に当たっている場合は
どうすべきか(次回の豆情報)といった点で下請法のルールを守る必要があります。
詳しくはこちら(クリックで詳細情報へ移動します。)を御覧ください。
振込手数料について
下請法は,第4条1項3号において「下請事業者の責に帰すべき理由がないのに,下請代金の額を減ずること」を禁止しています。
そして,下請代金の額を「減ずること」の1つの類型として「下請代金を下請事業者の金融機関口座へ振り込む際の手数料を下請事業者に負担させることを書面で合意している場合に,下請代金の額から金融機関に支払う実費を超えた額を差し引くこと。」があります。
したがって,発注前に書面で合意がない場合に振込手数料を下請代金の額から差し引くことも下請代金の減額に該当しますが,発注前に振込手数料を下請事業者が負担する旨の書面での合意がある場合であっても,親事業者が負担した実費の範囲を超えた額を当該手数料として差し引いて下請代金を支払うと,下請代金の減額に該当することになります。
ここでいう「実費」とは,振込手数料として銀行等に支払っている額のことであって,インターネットバンキングやFB(ファームバンキング)等の方法を利用している場合においても同様です。
したがって,例えば,親事業者が従来の銀行窓口での振込みに代えてインターネットバンキング等を利用することによって,実際に負担する振込手数料が少なくなっているにもかかわらず,下請代金から従来の銀行窓口での振込手数料相当額を差し引くことは,下請代金の減額として問題となります。親事業者においては,振込方法を従来の銀行窓口からインターネットバンキング等に変更する場合には,下請代金から差し引く金額についても併せて見直しをする必要がありますのでご注意ください。
ポイントは,①発注前に書面で合意すること,②親事業者が負担した実費の範囲内での差引きに限る,の2点です。
令和2年6月18日に勧告が行われた株式会社コモディイイダに対する件においては,下請代金を下請事業者の金融機関口座に振り込む際に,コモディイイダが実際に金融機関に支払う振込手数料を超える額を下請代金から差し引いていたことが下請代金の減額に当たるとされました。