株式取得の届出制度

株式取得の届出制度(独占禁止法第10条第2項,第5項)

条文

1 株式取得の届出要件

 下記の要件(1)に該当する会社が下記の要件(2)に該当する会社の株式を取得しようとする場合において,下記の要件(3)に該当することとなった場合に事前の届出が必要となります。

(1) 株式を取得しようとする会社及び当該会社の属する企業結合集団(注1)に属する当該会社以外の会社等の国内売上高の合計額(以下「国内売上高合計額(注2)」という。)が200億円を超える場合。

(2) 株式発行会社及びその子会社の国内売上高の合計額(注3)が50億円を超える場合。

(3) 株式発行会社の株式を取得しようとする場合において,株式発行会社の総株主の議決権の数に占める届出会社が取得の後において所有することとなる当該株式発行会社の株式に係る議決権の数と届出会社の属する企業結合集団に属する当該届出会社以外の会社等が所有する当該株式発行会社の株式に係る議決権の数とを合計した議決権の数の割合(議決権保有割合)が新たに20%又は50%を超えることとなる場合。

 ただし,合併又は分割により上記要件に該当することがある時は,「合併に関する計画届出書」等の所定の欄に当該事項を記載することにより,「株式取得に関する計画届出書」の提出は不要となります。

 (注1) 「企業結合集団」とは,会社及び当該会社の子会社(注4)並びに当該会社の最終親会社(親会社(注5)であって他の会社の子会社でないものをいいます。)及び当該最終親会社の子会社(当該会社及び当該会社の子会社を除きます。)から成る集団をいいます。ただし,当該会社に親会社がない場合には,当該会社が最終親会社となりますので,当該会社とその子会社から成る集団が企業結合集団となります。

 (注2) 「国内売上高合計額」とは,会社の属する企業結合集団に属する会社等の国内売上高をそれぞれ合計したものをいいます。なお,届出会社の国内売上高が存在しない場合であっても,上記(1)を満たし,届出が必要となる場合があります。

 (注3) 「株式発行会社及びその子会社の国内売上高の合計額」とは,株式発行会社及びその子会社(以下「株式発行会社等」といいます。)の国内売上高をそれぞれ合計したものをいいます。株式発行会社の国内売上高が存在しない場合であっても,上記(2)を満たし,届出が必要となる場合があります。

 (注4) 「子会社」とは,会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社が他の会社等の財務及び事業の方針の決定を支配している場合における当該他の会社等をいいます。

 (注5) 「親会社」とは,会社が他の会社等の財務及び事業の方針の決定を支配している場合における当該会社をいいます。

2 組合による株式取得

 会社の子会社である組合の組合員が組合財産として株式発行会社の株式を取得をしようとする場合については,上記1の要件(1)に該当する「株式を取得しようとする会社」を「株式を取得しようとする組合の親会社(注)」としてください。

 (注) 「組合の親会社」とは,会社が組合(民法組合,投資事業有限責任組合,有限責任事業組合等)の財務及び事業の方針の決定を支配している場合における当該会社をいいます。組合の財務及び事業の方針の決定を支配している場合とは,組合の業務執行を決定する権限の全体に対する自己(その子会社を含みます。)の計算において所有している業務執行を決定する権限の割合が100分の50を超えている場合等をいいます。

3 届出に必要な書類

(1) 株式取得に関する計画届出書

(2) 添付書類(昭和28年公正取引委員会規則第1号第2条の6第2項に掲げる書類)

ア 株式の取得に関する契約書の写又は意思決定を証するに足りる書類

イ 届出会社の最近一事業年度の事業報告,貸借対照表及び損益計算書

ウ 株式の取得に関し株主総会の決議又は総社員の同意があったときには,その決議又は同意の記録の写

エ 届出会社の属する企業結合集団の最終親会社により作成された有価証券報告書その他当該届出会社が属する企業結合集団の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なもの

 以上,届出書とア~エの添付書類を緑色のA4判紙ファイルにつづって提出してください(穴を開けてつづるタイプのファイルの場合,届出書や添付書類は穴を開けてつづっていただいて結構です。)。

4 記載要領について

 株式取得に関する計画届出書の提出に当たっては,以下の記載要領を参考にしてください。

届出書提出の要否,添付書類等についてのよくある質問はこちらから

届出後の手続(独占禁止法第10条第8項,第9項)

1 株式取得の禁止期間及び同期間の短縮

 会社は,株式取得の届出受理の日から30日を経過するまでは,株式取得をしてはならないことになっています。
 一方,公正取引委員会は,その必要があると認める場合には,30日間の株式取得の禁止期間を短縮することができることになっています。
 当事会社から株式取得禁止期間の短縮の申出があった場合,公正取引委員会は以下の2つの要件を満たすときは,株式取得禁止期間を短縮することとしています。
(1) 当該事案が独占禁止法上問題がないことが明らかな場合
(2) 株式取得禁止期間を短縮することについて届出会社が書面で申し出た場合

2 審査期間

 届出受理後,株式取得の禁止期間内に,審査に必要な報告,情報又は資料の提出を求めた場合には,届出受理後120日を経過した日と公正取引委員会が提出を要請した追加報告等を受理した日から90日を経過した日のいずれか遅い日までの期間に排除措置命令を行わない旨の通知をするか,排除措置命令前の通知(意見聴取の通知)をすることとなります。

3 問題解消措置不履行の場合の手続

 株式取得に関する計画の届出に当たり,当事会社が独占禁止法上の問題点を解消するなどの措置を期限内に履行しないときは,その期限の日から1年間は,公正取引委員会は排除措置命令の手続を開始できることとされています。

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