最終更新日:令和5年12月20日
以下、株式取得、合併、分割、共同株式移転及び事業等の譲受けの届出制度に関して、問い合わせの多い事項をQ&A形式でまとめてあります。
なお、届出制度Q&A中、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(昭和22年法律第54号)を「独占禁止法」といいます。また、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第九条から第十六条までの規定による認可の申請、報告及び届出等に関する規則」(昭和28年公正取引委員会規則第1号)を「届出規則」といいます。
- 届出前相談について
- 届出不要な企業結合に関する相談について
- 届出手続について
- 禁止期間について
- 資料について
- 論点等について
- 報告等要請について
- 添付書類について
- 真正に作成されたことを証明するために必要となる書類(真正性担保書類)について
- 届出基準について
- 国内売上高の具体的な事例について
- 届出の要否について
- 株式取得の届出の要否について
- 合併届出の要否について
- 分割届出の要否について
- 事業等の譲受けの届出の要否について
- 届出会社等の国内の市場における地位について
- 押印について
- 電子届出について
- その他
<届出前相談について>
問1 届出前相談にはどの程度の期間が必要ですか。
答1 届出前相談の内容により回答に掛かる時間は異なりますが,ドラフトチェックは通常2週間から1か月程度掛かります。
問2 届出前相談ではどのような相談が可能なのでしょうか。
答2 届出前相談では,届出予定会社は,届出書の記載方法等に関して相談することができます。例えば,届出書には届出会社等の国内の市場における地位を記載する項目がありますが,その記載を行うために,一定の取引分野に関する当委員会の考え方等,届出書に記載すべき内容に関連した相談が可能です。ただし,当委員会が届出前相談において独占禁止法上の判断を回答することはありません。
問3 行為予定日まで余り時間がないので届出前相談は行わずに届出を行いたいのですが,届出前相談を行った場合と比較して届出後の審査に何か不利益はあるのでしょうか。
答3 届出予定会社が届出前相談を行わなかったとしても,そのことによって当該会社が,届出後の審査において不利に取り扱われることはありません。
問4 届出前相談で議論した内容は届出後の審査においてどのように反映されるのでしょうか。
答4 届出前相談における届出予定会社と当委員会とのやりとりを踏まえて届出後の審査が行われることとなります。ただし,届出後の審査において,届出前相談における当委員会の説明が修正されることがあります。
問5 届出前相談を行いたい場合、どのように申し込めばよいのでしょうか。
答5 届出前相談はこちらのフォームから申込みを行うことができます。
また、企業結合関係の相談・届出等窓口でも受け付けておりますので、管轄内の窓口にお電話いただくことでも届出前相談の申込みは可能です。
<届出不要な企業結合に関する相談について>
問6 届出要件を満たさない企業結合に関する相談は,いつ頃から申し込むことが可能でしょうか。
答6 当該企業結合の計画に関して具体的な計画内容を示すことが可能となった時点で,相談を申し込むことが可能です。
<届出手続について>
問7 届出書は何通提出すればよいのですか。
答7 株式取得については,株式の取得をしようとする会社が1通,合併,分割又は共同株式移転については,合併,分割又は共同株式移転をしようとする会社が連名で1通,事業等の譲受けについては,事業等の譲受けをしようとする会社が1通提出してください。
問8 届出の際に届出書のドラフトチェックは必要ですか。
答8 届出予定会社は,届出前相談を利用して,任意にドラフトチェックを受けることができます。
問9 届出の際にアポイントメントは必要ですか。
答9 アポイントメントが無い場合でも,届出の受付窓口が開いている時間は受け付けていますが,担当職員が不在の場合や受付窓口が混み合う場合がありますので,アポイントメントを取った上で来庁されることをお勧めします。
問10 株式取得(又は合併,分割,共同株式移転,事業等の譲受け)を予定していますが,いつから届出は可能ですか。
答10 記載事項及び添付書類に不備のない届出書の準備ができていれば,届出を行うことは可能です。ただし,例えば,行為予定日が届出書を提出した日から1年以上先であり,行為予定日と届出書を提出した日が大きく離れている場合などは,行為予定日までに届出書の記載事項に関して変更が生じる蓋然性が高まると考えられます。届出書の提出後,届出書の記載事項に変更があった場合は,届出規則第7条第3項の規定に基づき変更報告書の提出が必要となります。また,届出書の記載事項に重要な変更があった場合は,届出規則第7条第4項の規定に基づき改めて届出書を当委員会に提出することが必要となります(届出後における届出書の記載事項の変更については,後記Q9を御覧ください。)。
問11 株式取得(又は合併,分割,共同株式移転,事業等の譲受け)契約を締結する前ですが,届出は可能ですか。
答11 契約書の案を添付すれば届出は可能です。ただし,この場合には,届出書の「その他参考となるべき事項」に契約締結の予定年月日及び契約締結後遅滞なく契約書の写しを提出する旨を記載してください。また,契約締結後速やかに契約書の写しを提出してください。
なお,株式取得の場合は,「意思決定を証するに足りる書類」を添付して届出を行うことも可能です(「意思決定を証するに足りる書類」については,後記「添付書類について」のQ4を御覧ください。)。
問12 届出書の提出を行わなかった場合はどうなりますか。
答12 届出義務があるにもかかわらず,届出書の提出が行われない場合には,独占禁止法第91条の2第3号(株式取得),第5号(合併),第7号(分割),第9号(共同株式移転),第11号(事業等の譲受け)により,200万円以下の罰金に処されることがあります。
問13 外国会社であるために,英語で届出書を作成したいのですが,英語版の様式はありますか。
答13 日本語での届出のみ受け付けておりますので,日本語で提出してください。
問14 届出後に届出書の記載事項に変更が生じた場合にはどのような手続が必要ですか。
答14 届出後に,届出書の記載事項に変更(重要な変更を除く。)があった場合又は届出書に記載した内容について新たな情報を入手した場合には,速やかに当委員会に報告してください。訂正又は変更を報告する際には,訂正又は変更の前後が分かるように記載した変更報告書1通(届出規則において企業結合の類型ごとに定められた様式第19号~様式第24号)を提出してください。
<禁止期間について>
問15 禁止期間30日はどのように計算するのですか。
答15 禁止期間は受理日の翌日から起算して30日間です。営業日ではなく、土日を含めた暦上での30日間です。
問16 禁止期間の短縮はどのような場合に行うことができるのでしょうか。
答16 禁止期間の短縮は、以下の2つの要件を満たしている場合に認めることができます。
(1) 一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならないことが明らかであること
(2) 禁止期間を短縮することについて届出会社が書面で申し出ること
なお、特に禁止期間の短縮が必要な理由があれば、書面に記載していただくことも可能です。
問17 禁止期間の短縮は、申出をすると必ず認められるのでしょうか。
答17 禁止期間の短縮は、独占禁止法第10条第8項において「ただし、公正取引委員会は、その必要があると認める場合には、当該期間を短縮することができる。」旨規定されていることから、必ず認められるものではありません。
なお、当委員会の企業結合審査が禁止期間満了前に終了した場合は、通常、禁止期間の短縮が認められます 。例えば、当委員会の企業結合審査が禁止期間満了前に終了したときに禁止期間の短縮が認められると、残りの禁止期間 が短縮され、短縮が認められた日の翌日から企業結合を行うことができるようになります。
また 、禁止期間の短縮の申出を行うことによって、当委員会の審査期間が申出を行わなかった場合と比べて短くなることはありません。
問18 禁止期間が短縮されたことは何によって分かるのですか。
答18 禁止期間が短縮された場合は、その旨を連絡し、また、禁止期間の短縮の通知書を交付します。短縮後の禁止期間は当該通知書に記載します。
問19 届出規則第9条の規定に基づく通知書(「排除措置命令を行わない旨の通知書」)が交付された後に禁止期間の短縮を申し出ることは可能ですか。
答19 届出規則第9条の規定に基づく通知書(「排除措置命令を行わない旨の通知書」)が交付された後でも、禁止期間の短縮を申し出ることは可能です。
<資料について>
問20 届出規則第7条の2に記載されている「資料」とはどのようなものを指すのでしょうか。
答20 「企業結合審査の手続に関する対応方針」の別添「公正取引委員会が企業結合審査において参考とする資料の例」に掲げているような資料です。
問21 公正取引委員会から当事会社等の内部文書の提出を求められることがありますが、その目的、範囲、手続はどのようなものですか。
答21 内部文書の提出を求める目的、範囲等については、「企業結合審査における内部文書の提出に係る公正取引委員会の実務」として取りまとめていますので、そちらを御参照ください。https://www.jftc.go.jp/dk/kiketsu/kigyoketsugo/naibubunnsyo.html
<論点等について>
問22 企業結合審査の手続に関する対応方針に記載されている「企業結合審査における論点等の説明」の「論点等」とは具体的には何を指しているのでしょうか。
答22 例えば,審査の具体的なスケジュール,進捗状況,当委員会が関心を持っている調査事項・検討事項等を指しています。
<報告等要請について>
問23 報告等要請ではどのような質問が想定されますか。
答23 第2次審査における企業結合審査に必要となる事項は事案ごとに異なるため,一概にはいえませんが,例えば,企業結合の対象となる商品の販売実績や製造原価,輸入や参入の状況等についての質問が考えられます。
<添付書類について>
問24 添付書類はどのようなものが必要ですか。
答24 株式取得の添付書類は,
(1) 株式の取得に関する契約書の写又は意思決定を証するに足りる書類
(2) 届出会社の最近1事業年度の事業報告,貸借対照表及び損益計算書
(3) 株式の取得に関し株主総会の決議又は総社員の同意があったときには,その決議又は同意の記録の写し
(4) 届出会社の属する企業結合集団の最終親会社により作成された有価証券報告書その他当該届出会社が属する企業結合集団の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なもの
が必要です(株式発行会社のものは不要です。)。
なお,株主総会の招集通知等のように必要な情報が含まれているような資料がある場合は,それを提出していただければ結構です。
合併,分割(共同新設分割及び吸収分割),共同株式移転の添付書類は,
(1) 届出会社(当事会社の全てをいう。以下この項において同じ。)の定款
(2) 契約書等(合併契約書,分割計画書若しくは分割契約書又は共同株式移転計画書若しくは共同株式移転契約書)の写し
(3) 届出会社の最近1事業年度の事業報告,貸借対照表及び損益計算書
(4) 届出会社の総株主の議決権の100分の1を超えて保有するものの名簿
(5) 届出会社において合併又は分割に関し株主総会の決議又は総社員の同意があったときは,その決議又は同意の記録の写し,共同株式移転に関し株主総会の決議があったときは,その決議の記録の写し
(6) 届出会社の属する企業結合集団の最終親会社により作成された有価証券報告書その他当該届出会社が属する企業結合集団の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なもの
が必要です。
なお,株主総会の招集通知等のように必要な情報が含まれているような資料がある場合は,それを提出していただければ結構です。
事業等の譲受けの添付書類は,
(1) 届出会社及び相手会社の定款
(2) 当該事業等の譲受けに関する契約書の写し
(3) 届出会社及び相手会社の最近1事業年度の事業報告,貸借対照表及び損益計算書
(4) 届出会社及び相手会社の総株主の議決権の100分の1を超えて保有するものの名簿
(5) 届出会社及び相手会社において当該事業等の譲受けに関し株主総会の決議又は総社員の同意があった時は,その決議又は同意の記録の写し
(6) 届出会社の属する企業結合集団の最終親会社により作成された有価証券報告書その他当該届出会社が属する企業結合集団の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なもの
が必要です。
なお,株主総会の招集通知等のように必要な情報が含まれているような資料がある場合は,それを提出していただければ結構です。
また,郵送等により提出する場合は,クリップ留め等により散逸しないようにして提出してください。
問25 添付書類のうち原本証明が必要なものはどれですか。
答25 定款,契約書及び株主総会等の議事録です。
ただし,定款については原始定款から改定が行われていない場合は,その写しであれば原本証明は不要です。また,契約書及び株主総会等議事録については押印されたものの写しであれば,原本証明は不要です。
問26 届出義務のある外国企業なのですが,添付書類にはそれぞれ翻訳文も添えて提出する必要がありますか。
答26 全文の翻訳文がある場合は,それを提出してください。無い場合には,定款については会社法第27条に記載されている事項,契約書については届出書記載事項に関連する部分,株主総会の議事録については株式取得(又は合併,分割,共同株式移転,事業等の譲受け)に関連する部分の翻訳文をそれぞれ添付してください。
問27 株式取得の届出に必要な添付書類として届出規則第2条の6第2項第1号に規定されている「意思決定を証するに足りる書類」とは具体的にはどのようなものですか。
答27 株式取得会社の内部において株式取得の決定を行ったことを証明する書類です。例えば,株式を取得するに当たり,その取得方針を決定した社内文書(稟議書),株式譲渡の予約契約書,株式譲渡に係る覚書等も含まれます。
問28 届出会社の属する企業結合集団の最終親会社が非上場等の理由から有価証券報告書を作成していない場合は,どのような添付書類の提出が必要ですか。
答28 最終親会社が有価証券報告書を作成していない場合は,
(1) 届出会社が属する企業結合集団の資本関係図(最終親会社及びその子会社のうち国内売上高を有する会社のもの)
(2) 企業結合集団を構成する会社のうち国内売上高を有する会社の貸借対照表及び損益計算書
(3) 最終親会社の株主名簿(議決権保有比率も記載されたもの)
が必要です。
<真正に作成されたことを証明するために必要となる書類(真正性担保書類)について>
問29 株式取得(又は、合併、分割、共同株式移転、事業等の譲受け)の届出書の提出において、届出書が真正に作成されたことを証明するために必要となる添付書類は何でしょうか。
答29 添付する必要のある書類とは、例えば、契約書の写し、株主総会決議の議事録など当該企業結合計画に係る意思決定を示す書類です。ただし、これらの書類は、従来から届出書の添付書類となっていますので、重ねて添付する必要はありません。
問30 株式取得(又は、合併、分割、共同株式移転、事業等の譲受け)の届出に係る変更報告書の提出において、変更報告書が真正に作成されたことを証明するために必要となる添付書類は何でしょうか。
答30 添付する必要のある書類とは、例えば、変更事項に係る社内決裁文書の写しや、合併等において実行予定日が変更となった場合には合併等の効力発生日の変更の公告など届出書の記載事項に変更が生じたことを示す書類です(変更事項別の真正に作成されたことを証明する書類の例については <参考>を参照ください。)。
問31 株式取得(又は、合併、分割、共同株式移転、事業等の譲受け)の届出に係る完了報告書の提出において、完了報告書が真正に作成されたことを証明するために必要となる書類は何でしょうか。
答31 添付する必要のある書類とは、当該企業結合計画が完了したことを示す書類です(企業結合の類型別の真正に作成されたことを証明する書類の例については<参考>を参照ください。)。
(例)株式取得の場合:株主名簿
合併、分割、共同株式移転の場合:会社法の規定に基づき作成された書類(事後備置書類)
事業等の譲受けの場合:譲受けの対象となった資産等の名義が変更されたことを証明する書類(登記事項証明書など)
問32 独占禁止法第9条第4項の規定により公正取引委員会に提出する報告書について、報告書が真正に作成されたことを証明するために必要となる書類は何でしょうか。
答32 添付する必要のある書類とは、例えば、報告書を提出する会社の最近一事業年度の事業報告書です。ただし、報告書を提出する会社の最近一事業年度の事業報告書は、従来から届出書の添付書類となっていますので、重ねて添付する必要はありません。
問33 独占禁止法第9条第7項の規定による届出書の提出において、届出書が真正に作成されたことを証明するために必要となる添付書類は何でしょうか。
答33 添付する必要のある書類とは、例えば、定款など新たに会社が設立されたことを証する文書です。
<法第11条許可申請>問34 独占禁止法第11条に係る認可申請の認可申請書の提出において、認可申請書が真正に作成されたことを証明するために必要となる書類は何でしょうか。
答34 添付する必要のある書類とは、例えば、議決権を取得又は保有しようとする他の国内の会社の最近一事業年度の事業報告書です。ただし、議決権を取得又は保有しようとする他の国内の会社の最近一事業年度の事業報告書は、従来から届出書の添付書類となっていますので、重ねて添付する必要はありません。
真正に作成されたことを証明する書類の例は下記のとおりです。
添付書類例(いずれか1つ) | ||
---|---|---|
届出書 | 株式取得、合併、 吸収分割・新設分割、 共同株式移転、事業等の譲受け |
・契約書の写し ・企業結合計画に関する意思決定を証するに足りる文書(届出書添付資料) ・株主総会決議の議事録(届出書添付資料) |
変更報告書 | 届出会社の名称 (届出主体は変わらない) |
・定款 ・株主総会決議の議事録 |
実行予定日 | ・公告(会社法第790条第2項に基づく公告) | |
議決権保有割合 | ・社内の意思決定を証する文書 | |
役員兼任 | ・取締役会議事録 | |
資本金 | ・登記事項証明書 | |
株式取得の目的・理由・ 経緯・方法(スキーム) |
・取締役会決議 ・社内決裁文書 |
|
問題解消措置 | ・上申書 | |
その他 | ・変更箇所に係る社内の意思決定を証する文書 | |
完了報告書 | 株式取得 | ・株主名簿 ・株主名簿記載事項証明書 ・対価を支払ったことを示す書類 |
合併 | ・登記事項証明書 ・事後備置書類 |
|
吸収分割・新設分割 | ||
共同株式移転 | ||
事業等の譲受け | ・名義変更されたことを証明する書類(登記事項証明書など) ・対価を支払ったことを示す書類 ・本件完了報告書を公取委に提出する際の社内決裁文書 |
|
9条4項報告書 | ・事業報告書(報告書添付資料) ・本件報告書を公取委に提出する際の社内決裁文書 |
|
9条7項届出書 | ・登記事項証明書(届出書添付資料) | |
11条第1項ただし書き、第2項認可申請書 | ・議決権に係る株式を発行した会社の定款(申請書添付資料) ・議決権に係る株式を発行した会社の最近一事業年度の事業報告書(申請書添付資料) ・契約書の写し |
<届出基準について>
問35 国内売上高という概念がよく分かりません。
答35 会社等の最終事業年度における売上高(銀行業及び保険業を営む会社等については経常収益,第一種金融商品取引業を営む会社等については営業収益とする。)のうち,国内において供給された商品の価額及び役務の価額を合計した額をいいます。
問36 届出基準である国内売上高は,いつの時点の国内売上高で計算するのですか。
答36 最終事業年度の国内売上高で計算します。
問37 外国会社が国内売上高を算出する際,どのような為替相場により邦貨換算すればよいのですか。
答37 期中平均相場等決算時の処理において用いた為替相場を使用してください。
また,その際に使用した為替相場を届出書の「その他参考となるべき事項」の欄に記載してください。
なお,決算時の処理において用いた為替相場がない場合には,三菱東京UFJ銀行等公表の外国為替相場(TTSレート又はTTMレート)を用いて算出した期中平均相場で邦貨換算してください。
問38 国内売上高合計額という概念がよく分かりません。
答38 国内売上高合計額とは,株式取得(又は合併,分割,共同株式移転,事業等の譲受け)をしようとする会社の属する企業結合集団に属する会社等の国内売上高を合計した額をいいます。
問39 企業結合集団という概念がよく分かりません。
答39 企業結合集団とは,会社の親会社(他の会社の子会社でないものをいい,当該会社に親会社が無い場合には,当該会社をいう。)及びその子会社から成る集団をいいます。
なお,間接的に株式を保有されている,いわゆる孫会社も子会社となります。
問40 国内売上高合計額には,外国会社であるか国内の会社であるかを問わず親会社又は子会社の国内売上高を加算する必要がありますか。
答40 国内売上高合計額においては,親会社や子会社が外国会社であるか国内の会社であるかを問わず国内売上高がある場合には,当然にその国内売上高を加算する必要があります。
問41 企業結合集団に含まれる会社等の親子関係は,いつの時点での関係により判断するのですか。
答41 株式取得(又は,合併,分割,共同株式移転,事業等の譲受け)の直前の関係で判断します。
問42 届出規則第2条の9では,具体的にはどのような会社を子会社としているのですか。
答42 会社(その子会社を含む。)が他の会社の議決権の総数の50%超を所有している場合など,「財務諸表等の用語,様式及び作成方法に関する規則」等の子会社とほぼ同じものです。
問43 届出規則第2条の3において,連結財務諸表を転用して国内売上高合計額を算出する規定が置かれており,同条第1項第1号ロにおいて,「連結財務諸表規則第五条第一項ただし書各号及び第二項に該当するものを除く。」とあることから,当該規定に該当する会社については,独占禁止法第10条第6項に規定する子会社にはならないということですか。
答43 当該規定に該当する会社についても独占禁止法第10条第6項に規定する子会社に該当します。
届出規則第2条の3の規定は,国内売上高合計額を算出するに当たり,連結財務諸表を転用する場合については,届出負担を考慮して,当該会社の国内売上高を加算する必要をなくしたものであり,子会社の概念や企業結合集団に含まれる会社等の範囲を変更するものではありません。
問44 届出規則第2条の3及び第2条の5において,連結財務諸表を転用して国内売上高合計額を算出する規定が置かれていますが,具体的には,連結財務諸表をどのように転用して国内売上高合計額を算出するのでしょうか。
答44 連結財務諸表に地域ごとの情報として注記する「本邦に係る売上高」(連結本邦売上高)を独占禁止法第10 条第2項に規定する国内売上高合計額の全部又は一部とすることができます。
問45 企業会計基準適用指針第22号「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」 に記載されている,いわゆるベンチャーキャピタル条項に該当する会社については,独占禁止法第10条第6項に規定する子会社に該当するのですか。
答45 独占禁止法第10条第6項に規定する子会社に該当します。
問46 「財務諸表等の用語,様式及び作成方法に関する規則」第8条第7項に規定される特別目的会社については, 独占禁止法第10条第6項に規定する子会社に該当するのですか。
答46 独占禁止法第10条第6項に規定する子会社に該当します。
問47 投資組合の業務執行決定権限を有する組合員が届出を行う場合,当該組合が50%超出資している会社の国内売上高を国内売上高合計額に含める必要がありますか。
答47 当該会社は,業務執行決定権限を有する組合員の子会社になりますので,国内売上高合計額を算出する際には,当該会社の国内売上高を含める必要があります。
問48 企業結合集団に含まれる会社等の親子関係の判断は,行為の直前の関係で判断するとのことですが,連結財務諸表上の連結売上高を転用する場合において,決算後の新年度内に新たな子会社が増加している場合,連結決算を転用して算出した国内売上高合計額に,当該子会社の国内売上高を合算する必要がありますか。
答48 合算する必要があります。
問49 企業結合集団に含まれる会社等の親子関係の判断は,行為の直前の関係で判断するとのことですが,連結財務諸表上の連結売上高を転用する場合において,決算後の新年度内に売却した子会社がある場合,連結決算を転用して算出した国内売上高合計額から,当該子会社の国内売上高を減算する必要がありますか。
答49 減算する必要があります。
<国内売上高の具体的な事例について>
問50 当社では輸出も若干行っていますがほとんど国内向けに販売しているので,会社の売上高の全てを国内売上高としても構いませんか。
答50 会社の売上高から輸出分を除いた金額を国内売上高として計算を行ってください。
問51 航空運輸業(航空機を利用した旅客輸送・貨物輸送)を営む会社の国内売上高はどのように計算するのですか。
答51 国内線に係る売上高及び国際線に係る売上高のうち,本邦発着の国際線に係る売上高を国内売上高として計算してください。
問52 海運業(船舶を利用した旅客輸送・貨物輸送)を営む会社の国内売上高はどのように計算するのですか。
答52 内航海運に係る売上高及び外航海運に係る売上高のうち本邦発着の外航海運に係る売上高を国内売上高として計算してください。
問53 投資組合は何を売上高とするのですか。
答53 投資収益を売上高としてください。
問54 投資組合が毎年度決算を行っていない場合はどのように売上高を算出すればよいのですか。
答54 決算を行っていない組合については,臨時決算を行っていただき,事業年度の売上高を算出してください。
問55 投資組合の売上高における投資収益とは具体的にどのようなものが含まれるのですか。
答55 有価証券売却益等が含まれます。
問56 コンビニエンスストアやファーストフード等フランチャイズを管理運営している会社(フランチャイザー)の売上高には,フランチャイズに加盟している者(フランチャイジー)から得られるロイヤルティ等があります。ロイヤルティ等は国内売上高に入るのですか。
答56 国内売上高に入ります。
問57 特許等の知的財産権を有している会社が,他社とライセンス契約を締結し,ライセンスフィーを得ている場合,当該ライセンスフィーは国内売上高に入るのですか。
答57 国内売上高に入ります。
なお,外国の会社からライセンスフィーを得ている場合,当該ライセンスフィーは海外売上高となり,国内売上高には入りません。
<届出の要否について>
問58 決算期を変更したため,決算期が1期分(1年間)に満たない3か月分しかありません。届出の要否はどう判断すればよいのですか。
答58 連結財務諸表上の連結本邦売上高を転用する場合において,当該連結財務諸表を作成していない会社が決算期を変更したときには,当該連結財務諸表を作成している会社の決算に従って届出の要否を判断します。
他方,連結財務諸表上の連結本邦売上高を転用する場合において,当該連結財務諸表を作成している会社が決算期を変更した場合については,最終事業年度の決算(3か月分)における国内売上高に加え,最終事業年度の決算に不足している9か月分の国内売上高を最終事業年度の前年における決算から算出し,国内売上高合計額としてください。
御質問のケースの場合,最終事業年度の決算(3か月分)における国内売上高に加え,最終事業年度の前年の決算における国内売上高から最終事業年度の決算に不足している9か月分に相当する額(国内売上高に4分の3を乗じたもの)を合計して国内売上高合計額として,届出の要否を判断してください。
問59 当社は設立されて間もないため,決算期が到来していませんが,今後,株式取得(又は合併,分割,共同株式移転,事業等の譲受け)をしようと考えています。株式取得(又は合併,分割,共同株式移転,事業等の譲受け)の届出は必要ですか。
答59 設立された会社に親会社及び子会社が無い場合には,最終事業年度の売上高が無いため,届出は不要です。
ただし,設立した会社に売上高が無い場合であっても,設立された会社の他に同一の企業結合集団に属する会社等があるときには,当該企業結合集団に属する会社等の国内売上高を合計した額が届出基準額を超える場合には届出は必要です。
問60 届出規則第2条の7第4号及び第5号において親会社のない組合の場合(複数の業務執行組合員が業務執行を決定する権限を等しく有するような場合)には,有限責任組合員及び非業務執行組合員は届出免除の対象となっています。他方,親会社のある組合の場合,独占禁止法第10条第5項によりその親会社である業務執行を決定する権限を有する組合員が届出義務を負いますが,有限責任組合員及び非業務執行組合員にも届出義務は課されているのですか。
答60 親会社のある組合の場合には独占禁止法第10条第5項により親会社による届出は必要です。その場合,親会社が全ての株式を取得又は所有するものとみなしますので,親会社とはならない有限責任組合員及び非業務執行組合員による届出は不要です。
<株式取得の届出の要否について>
問61 合併(又は分割,共同株式移転,事業等の譲受け)については,同一の企業結合集団に属する会社間での合併等を届出免除としていますが,株式取得については,そのような規定がありません。株式取得会社及び株式発行会社が同一の企業結合集団に属する会社である場合に届出は必要ですか。
答61 独占禁止法においては,企業結合集団に属する会社等の保有する議決権も含めて議決権保有割合が届出閾値(いきち)(株式取得について届出義務の対象となる議決権保有割合の数値をいいます。以下同じ。)を超えることとなるか判断することとしているところ,株式発行会社の株式を同一の企業結合集団に属する会社等から取得した場合には,議決権保有割合に変動が生じないことから,届出は不要ですが,同一の企業結合集団に属する会社等以外から取得した場合には,議決権保有割合に変動が生じることから,届出閾値(いきち)を超える場合には届出は必要です。
問62 独占禁止法においては,企業結合集団に属する会社等の保有する議決権も含めて議決権保有割合が届出閾値(いきち)を超えることとなるか判断していますが,例えば,A社が同一の企業結合集団に属さないB社の株式を25%保有している場合,当該株式をA社の子会社であるC社に売却するときに,届出は必要ですか。
答62 御質問のケースの場合,A社の属する企業結合集団の議決権保有割合に変動が生じないことから,届出は不要です。
問63 株式発行会社の自己株式の取得により総株主の議決権の数が減少することに伴って届出閾値(いきち)を超えることとなる場合であっても届出は必要ですか。
答63 届出の対象行為は,株式の「取得」行為に限定することとしているため,株式発行会社の自己株式の取得による議決権保有割合の増加については,株式発行会社の株式を取得するという届出の要件に該当しないことから,届出は不要です。
問64 平成21年の改正前には,独占禁止法第10条第2項ただし書において,「株式発行会社の発行済の株式の全部をその設立と同時に取得する場合」については報告が免除されていたと思いますが,現行の独占禁止法にはそのような規定がありません。届出は必要ですか。
答64 届出基準が総資産基準から国内売上高基準に変更されており,設立されたばかりの株式発行会社には国内売上高がなく,届出基準に該当しないことから,届出は不要です。
問65 合併(又は分割)により他の会社の株式に係る議決権を取得することとなり,届出書の提出が必要となる届出閾値(いきち)を超えることとなる会社があります。合併(又は分割)の届出と同時に,株式取得の届出書の提出は必要ですか。
答65 合併(又は分割)の届出において当該株式取得に関する事項を記載したときは,株式取得の届出書の提出は不要です(届出規則第2条の6)。
問66 株式交換の場合でも株式取得の届出は必要ですか。
答66 株式交換に限らず,売買,譲渡等いかなる取得方法であっても,届出の要件を満たす場合は届出は必要です。
問67 当社はいわゆる名義株を実質所有していますが,株式に係る議決権の届出閾値(いきち)の算定対象となりますか。
答67 対象となります。
問68 株式に係る議決権を届出閾値(いきち)を超えて取得したのですが,同日付けで当該株式を転売しました。このような場合にも株式取得の届出は必要ですか。
答68 届出は必要です。
問69 最終親会社A社の子会社であるB社及びC社が共同株式移転を行うことにより,中間持株会社であるD社を設立します。B社及びC社は同一企業結合集団に属する会社であるため共同株式移転の届出は不要と理解しています。その際,最終親会社であるA社は,新設された持株会社D社の株式を取得することとなりますが,この株式取得の届出は必要ですか。
答69 届出基準に該当すれば,A社によるD社の株式取得について,届出が必要となります。
問70 当社はA社(子会社が無い)の株式に係る議決権を届出閾値(いきち)を超えて取得することを予定しています。A社(株式発行会社)は最終事業年度の決算では国内売上高の合計額が40億円ですが,その後,B社から事業(国内売上高30億円)の譲渡を受けています。株式取得の届出は必要ですか。
答70 届出が必要となる場合があります。
A社は,決算期の売上高から算出した国内売上高の合計額が40億円ですが,B社から事業の譲渡を受けており,当該譲渡対象部分に係る国内売上高について,B社が決算を経ている場合には,当該国内売上高をA社の国内売上高に合算して国内売上高の合計額を計算してください。
問71 当社はA社(子会社が無い)の株式の全てを10月にB社から買い取ることを予定しています。A社(株式発行会社)はB社が今年の4月に設立した会社で,B社の事業の一部(国内売上高50億円超)を譲渡されています。A社は決算を行っていない会社ですが,株式取得の届出は必要ですか。
答71 届出が必要となる場合があります。
A社は決算を行っていませんが,B社から事業の一部を譲り受けており,当該譲渡対象部分に係る国内売上高について,B社が決算を経ている場合には,当該国内売上高をA社の国内売上高として国内売上高の合計額を計算してください。
問72 当社はA社の株式の全てを10月1日にB社から買い取ることを予定しています。A社(株式発行会社)はB社が10月1日に単独新設分割により設立を予定している会社で,B社の事業の一部(国内売上高50億円超)を承継する予定です。株式取得の届出は必要ですか。
答72 届出が必要となる場合があります。
A社は設立された直後のため売上高はありませんが,B社から事業を承継しており,当該分割対象部分に係る国内売上高について,B社が決算を経ている場合には,当該国内売上高をA社の国内売上高として国内売上高の合計額を計算してください。
問73 設立して間もない会社(未決算)であって,既に国内売上高を合計した額が50億円を超える会社(株式発行会社)の株式に係る議決権を届出閾値(いきち)を超えて取得しようと考えています。株式取得の届出は必要ですか。
答73 設立して間もない会社に子会社が無い場合には,最終事業年度の売上高が無く,確定した国内売上高が把握できませんので,届出は不要です。
ただし,設立して間もない会社であっても,子会社を保有しており,当該子会社の国内売上高を合算して国内売上高を合計した額が50億円を超えている場合には,届出が必要です。
問74 昨年の10月に設立し,今年の3月に初めて決算を行い,6月に取締役会(又は定時株主総会)の承認を受けた50億円の国内売上高がある会社の株式の全部を買い取ることを予定しています。当該会社の売上高は1年間に満たないものですが,株式取得の届出は必要ですか。
答74 1年間に満たない売上高であっても,届出基準額を超えている場合には,届出が必要です。
問75 今年の4月に国内売上高合計額が200億円を超えるA社と,同じく50億円を超えるB社が新設合併(合併の届出書を提出済)し,C社が設立されています。C社は同年10月にさらに国内売上高合計額が50億円を超えるD社と合併を予定しています。C社としては,未決算ですが,D社との合併についての届出は必要ですか。
答75 届出は必要です。
その際,合併前のA社とB社の国内売上高合計額を単純合算したものをC社の国内売上高合計額としてください。
問76 今年の4月に国内売上高合計額が200億円を超えるA社と,同じく50億円を超えるB社が共同新設分割(分割の届出書を提出済)し,C社を設立しています。C社は同年10月にさらに国内売上高合計額が50億円を超えるD社と合併を予定しています。C社としては,未決算ですが,D社との合併についての届出は必要ですか。
答76 届出は必要です。
その際,分割前のA社とB社の分割対象部分に係る国内売上高を単純合算したものをC社の国内売上高合計額としてください。
問77 X社の子会社であるA社がB社を吸収合併し,B社の株主に対してX社の株式を交付する,いわゆる三角合併を行うこととした場合,どのような届出が必要ですか。
答77 届出基準に該当する場合には,(1)A社によるB社の吸収合併と(2)B社の株主によるX社の株式取得に関する届出が必要です。
問78 X社の子会社であるA社をB社が吸収合併し,X社に対してB社の株式を交付する場合,どのような届出が必要ですか。
答78 届出基準に該当する場合には,(1)B社によるA社の吸収合併と(2)X社によるB社の株式取得に関する届出が必要です。
<合併届出の要否について>
問79 国内売上高合計額190億円のA社と国内売上高合計額70億円のB社が合併する場合,A社とB社の国内売上高を合計すると,250億円を超えますが,届出は必要ですか。
答79 合併の届出制度においては,合併の当事会社の中に「国内売上高合計額200億円超の会社」が最低1社と「国内売上高合計額50億円超の会社」が最低1社ある場合に事前の届出は必要です。
したがって,御質問のケースの合併の場合,合併の当事会社の中に国内売上高合計額が200億円を超える会社がありませんので,届出は不要です。
問80 3社以上で合併する際に,当事会社の中に届出基準に該当しない会社がある場合の届出はどうなりますか。(例:国内売上高合計額210億円のA社,国内売上高合計額60億円のB社,国内売上高合計額10億円のC社及び国内売上高合計額1億円のD社の4社が合併する場合)
答80 合併の届出制度においては,合併の当事会社の中に「国内売上高合計額200億円超の会社」が最低1社と「国内売上高合計額50億円超の会社」が最低1社ある場合は,届出は必要です。また,この場合,合併当事会社の中に国内売上高合計額50億円以下の会社があっても,合併当事会社全社による届出は必要です。
(したがって,例示した合併の場合,合併の当事会社の中に国内売上高合計額200億円超の会社(A社)と国内売上高合計額50億円超の会社(B社)がありますので,届出は必要であり,また,4社全てによる届出も必要です。)
届出の際は,届出書の様式に必要な数だけ記入欄を追加してください。
問81 国内売上高合計額300億円のA社と国内売上高合計額60億円のB社が合併を予定しています。A社はC社の親会社で,B社はC社の子会社(間接保有の子会社,いわゆるA社の孫会社)です。A社とB社が合併する場合,届出は必要ですか。
答81 A社とB社は,同一の企業結合集団に属する会社ですので,届出は不要です。
問82 会社法上の「簡易合併」も独占禁止法の規制の対象となるのですか。
答82 独占禁止法は,当該会社合併が市場の競争にどのような影響を与えることになるのかに着目しており,簡易合併であっても,それが一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合は禁止されますし,届出基準に該当する場合には届出は必要です。
問83 当社は,現時点では54%の議決権を保有する子会社であるA社と合併することを計画していますが,届出日の1週間前に,当社が保有するA社の株式の全てをB社に売却することとしています。同一の企業結合集団に属する会社間の合併については届出は不要とのことですが,このような場合,届出は必要ですか。
なお,この場合のA社の国内売上高合計額は届出基準である50億円を超えています。
答83 届出の要否は,行為日の直前の当事会社の関係で判断します。
御質問のケースの場合,現時点では,親子会社の関係にあり,同一の企業結合集団に属する会社であったとしても,行為日の直前の時点では,親子会社ではなく,同一の企業結合集団に属する会社ではないことから,届出は必要です。
<分割届出の要否について>
問84 会社分割の当事会社の中に届出基準に該当しない会社がある場合の届出はどうなりますか。
答84 会社分割の届出制度では,例えば共同新設分割により,事業の全部を分割する場合,分割の当事会社に国内売上高合計額が200億円超の会社と50億円超の会社がそれぞれ最低1社ある場合には届出が必要になりますので,そのような会社が存在する場合は,事業の全部を分割する会社の中に国内売上高合計額が50億円未満の会社があるときでも,当該会社を含め会社分割の当事会社全社による届出は必要です。
問85 「事業の全部」とは,会社全部の事業を指すのですか,それともある事業部門の全部を指すのですか。
答85 会社分割の対象となる「事業の全部」,「事業の重要部分」は,事業譲受けの「事業の全部」,「事業の重要部分」と同じです。
すなわち「事業の全部」とは,当該会社の全ての事業を指すもので,当該会社のある事業部門の全部という意味ではありません。
問86 会社法上の「簡易な分割」も独占禁止法の規制の対象となるのですか。
答86 独占禁止法は,当該会社分割が市場の競争にどのような影響を与えることになるのかに着目しており,簡易な会社分割であっても,それが一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合は禁止されますし,届出要件に該当する場合には届出は必要です。
問87 会社分割により割当てを受ける株式に関して,独占禁止法第10条第2項の届出は必要ですか。
答87 会社分割の届出をした会社と株式を取得した会社が同一である場合には,会社分割の届出において当該株式取得に関する事項を記載したときは,株式取得の届出書の提出は不要ですが,同一の会社でない場合(分割会社の株主に株式が割り当てられる場合等)であって,株式取得の届出基準に該当する場合には,株式取得の届出書の提出が必要です。
問88 共同新設分割が複数の会社を設立することによって行われる場合の届出はどうなりますか。
答88 御質問のケースの場合,法律上は複数の共同新設分割が同時に行われていることになりますので,届出の要件を満たすかどうかは,設立される会社ごとに見て,それぞれ判断することになります。
問89 当社は,現時点では54%の議決権を保有する子会社であるA社から,事業の重要部分を承継する吸収分割を行うことを計画していますが,届出日の1週間前に,当社が保有するA社の株式の全てをB社に売却することとしています。全ての分割をしようとする会社が同一の企業結合集団に属する場合は,届出は不要とのことですが,このような場合,届出は必要ですか。
答89 届出の要否は,行為日の直前の当事会社の関係で判断します。
御質問のケースの場合,現時点では,親子会社の関係にあり,同一の企業結合集団に属する会社であったとしても,行為日の直前の時点では,親子会社ではなく,同一の企業結合集団に属する会社ではないことから,届出は必要です。
<事業等の譲受けの届出の要否について>
問90 国内売上高合計額200億円を超えるA社が,B社から事業の全部(国内売上高35億円)を譲り受ける予定です。A社はC社の親会社で,B社はC社の子会社(間接子会社いわゆるA社の孫会社)です。A社がB社から事業の全部を譲り受ける場合,届出は必要ですか。
答90 事業等の譲受けの届出制度においては,事業等の譲受けをしようとする会社及び当該事業等の譲渡をしようとする会社が同一の企業結合集団に属する場合は,届出は不要です。
御質問のケースの場合は,A社(譲受会社)とB社(譲渡会社)は,同一の企業結合集団に属するため,届出は不要です。
問91 国内売上高合計額が200億円を超える会社が,国内の会社5社それぞれから事業の重要部分の譲受けを計画しています。譲渡会社の譲渡対象部分に係る国内売上高は30億円を超える会社もありますが,30億円に満たない会社も含まれています。この場合,要件を満たす会社からの事業の譲受けについてのみ届出をすれば足りるのですか。
答91 御質問のケースの場合は,要件を満たす会社からの事業の譲受けについてのみ届出をすれば足ります。
問92 A社は新たに子会社B社を設立し,設立と同時にB社を譲受会社として,C社から事業の重要部分を譲り受けることを計画しています。現在新会社B社は設立手続中です。あらかじめ届出をすることはできますか。
答92 設立前の会社による届出はできません。御質問のケースの場合,新たに設立された子会社B社の属する企業結合集団に属する会社等の国内売上高合計額が200億円超であり,譲渡対象部分の国内売上高が30億円を超えている場合等には届出要件に該当しますので,設立後の届出が必要です。
なお,届出受理の日から30日を経過するまでは譲受けを行うことはできません(禁止期間の短縮については,前記「禁止期間について」を御覧ください。)。
問93 A社は会社設立後間もないため,決算期が到来していませんが,会社設立から現在までの8か月間で50億円の国内売上高があります。今後,国内売上高合計額が200億円超のB社に事業の一部(国内売上高35億円)を譲渡しようと考えていますが,B社からの届出は必要ですか。
答93 A社の最終事業年度の売上高がないことから,届出は不要です。
問94 当社は,現時点では54%の議決権を保有する子会社であるA社から事業の重要部分を譲り受けることを計画していますが,届出日の1週間前に,当社が保有するA社の株式の全てをB社に売却することとしています。譲受会社と譲渡会社が同一の企業結合集団に属する場合は,届出は不要とのことですが,このような場合,届出は必要ですか。
答94 届出の要否は,行為日の直前の当事会社の関係で判断します。
御質問のケースの場合,現時点では,親子会社の関係にあり,同一の企業結合集団に属する会社であったとしても,行為日の直前の時点では,親子会社ではなく,同一の企業結合集団に属する会社ではないことから,届出は必要です。
<届出会社等の国内の市場における地位について>
問95 届出会社が,外国も含めた市場における地位を記載したいと考えている場合,当該市場における地位はどこに記載するのでしょうか。
答95 そのような場合は,届出書の「その他参考となるべき事項」に当該市場における地位を記載してください。
<押印について>
問96 企業結合に関する手続において、公正取引委員会に提出する必要がある書類のうち、押印が不要となる書類は何でしょうか。
答96 独占禁止法第9条から第16条までに規定されている認可の申請、報告及び届出に係る届出書、報告書、認可申請書の全てについて押印は不要です。
ただし、これらの届出書、報告書、認可申請書を公正取引委員会に提出する場合、これらの書類が真正に作成されたものであることやその内容が真正であることを証明する書類を添付する必要があります(真正に作成されたことを証明するために必要となる書類については、こちらを御覧ください。)。
問97 認可申請書、報告書、届出書に押印をすれば、届出書等を真正に作成したことを証明するために必要となる書類を添付しなくても良いでしょうか。
答97 押印の有無にかかわらず、認可申請書、報告書、届出書を公正取引委員会に提出する場合には、届出書等が届出会社によって真正に作成されたことやその内容が真正であることを証明する書類の添付が必要です。
問98 公正取引委員会に提出する届出書等の書類に押印がある場合、受理されないのでしょうか。
答98 押印がされていても不受理とすることはありません。
問99 企業結合に関する手続において、代理人によって届出等を行う場合に提出が必要となる委任状について、押印は必要でしょうか。
答99 代理人となる者との間で取り交わした委任状など委任契約が明らかとなる文書であれば、押印の有無は問いません。
問100 公正取引委員会に提出する届出書等の書類への押印が不要となるのは、いつからでしょうか。
答100 令和2年12月25日以降、企業結合に関する手続において、公正取引委員会に提出する認可申請書、報告書、届出書について、押印が不要です。
<電子届出について>
問101 企業結合に関する手続において,電子メールを利用して行える手続は何でしょうか。
答101 独占禁止法第9条から第16条までの規定による届出等に関する手続のほか,企業結合に係る全ての書類について,電子メールを利用した提出が可能です。
問102 電子届出窓口を利用した届出等の受付時間はあるのでしょうか。
答102 電子届出窓口を利用した届出等は,24時間365日受付可能です(ただし,システムメンテナンス等により利用できない場合があります。)。
問103 今後,企業結合に係る書類は,電子メール以外では受け付けないのでしょうか。
答103 これまでどおり,持参,郵送などによる書面での提出も可能です。
ただし,オンラインでの提出方法は原則電子メールによるものとします。例えば,クラウド上のURL等をお知らせいただいても,当方からダウンロードすることは行っておりません。
問104 電子メールを利用して届出等を行った場合,改めて書面で提出する必要はありますか。
答104 必要ありません。
問105 届出書等を添付した電子メールを送信しましたが,受信確認を行うことは可能でしょうか。
答105 会社側のメールシステムの設定又は運用ルールによっては,公正取引委員会に電子メールが到達するまでに時間を要する場合又は届かない場合等があるため,電子メールを送信した際には,企業結合課又は各地方事務所等の担当職員に対して受信の有無を電話で問い合わせることをお勧めしております。受信確認は,開庁日のみです。
開庁時間外に送信した電子メールの受信確認は,翌開庁日に承ります。
問106 電子メールを利用して提出した届出書等の受理日は,いつになるのでしょうか。
答106 添付された届出書等の記載内容に不備がなく,届出書等に必要な書類が添付されていれば,公正取引委員会のサーバーに電子メールが届いた日が受理日です。
問107 ファイル容量等の関係から,複数の電子メールに分けて送信した場合の届出書等の受理日は,いつになるでしょうか。
答107 公正取引委員会のサーバーが最後に受信した電子メールの受信日が受理日です。添付ファイルのパスワードを添付ファイルの後に別に送付した場合,公正取引委員会のサーバーに当該パスワードの電子メールが届いた日が受理日です。
問108 ファイルを送信した後,公正取引委員会からファイルが開けられない,文字化けしている等と送信したファイルにトラブルが発生していると言われました。この場合の届出等の受理日は,いつになるでしょうか。
答108 公正取引委員会において,ファイルの内容が確認できる届出書等による届出等が行われる必要があります。公正取引委員会のサーバーにファイルの内容が確認できた電子メールが届いた日が受理日です。
問109 提出ファイルの形式や容量に制限はありますか。
答109 ファイル形式は,PDF,ワード,エクセルを使用してください。容量については,電子メール1通当たりの上限は50MBです。50MBを超える容量のファイルを送信する場合は,ファイルを複数の電子メールに分割して送信してください。
問110 電子メールで届出受理書等の交付を受けることは可能ですか。
答110 電子メールによって届出書等を提出いただく場合、当該届出に係る届出受理書、排除措置命令を行わない旨の通知書、禁止期間の短縮の通知書、報告等要請書及び報告等受理書(独占禁止法第11条第1項又は第2項の認可申請の場合は当該申請に係る認可書)について、電子メールで交付を受けることが可能です。電子メールによる交付を希望する場合は、その旨届出の際に表示(情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律第7条第1項ただし書に規定する表示)をしていただく必要がありますので、届出書の「その他参考となるべき事項」欄に電子メールによる交付を希望する旨を下記の例により記載してください。
(例①)独占禁止法第10条第2項等の規定に基づく届出の場合
本届出に係る届出受理書、排除措置命令を行わない旨の通知書、禁止期間の短縮の通知書、報告等要請書及び報告等受理書については、電子メールにより交付を受けることを希望します。
(例②)独占禁止法第11条第1項又は第2項の認可申請の場合
本申請に係る認可書については、電子メールにより交付を受けることを希望します。
問111 一度電子メールで届出受理書等の交付を受けましたが、重ねて書面でも交付してもらうことは可能ですか。
答111 電子メールで交付を受けたものと同じ届出受理書等を重ねて書面の方法で受けることはできませんので御了承ください。
<その他>
問112 届出基準が変更され,平成21年の改正前の独占禁止法で報告義務を課されていた10%超の株式を取得する場合の報告が不要になったにもかかわらず,「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」には引き続き,企業結合審査の対象となる株式保有として,議決権保有比率が10%超の場合を記載しています。届出が不要になったということは,企業結合審査の対象とならないということですか。
答112 平成21年の独占禁止法改正において10%の届出閾値(いきち)を廃止したのは,議決権保有割合が20%以下であれば,20%超の場合と比べて結合関係が生じることが少ないことを踏まえ,企業の届出負担軽
減を考慮したためです。
他方,「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」において示しているとおり,これまでも議決権保有比率が10%超,かつ,役員兼任等一定の条件があれば,結合関係が生じる可能性があるとしてきて
いるところであり,会社法や「財務諸表等の用語,様式及び作成方法に関する規則」において,議決権保有割合が20%未満であっても,役員兼任関係や取引関係等を勘案して関連会社となり得るとされてい
ること等を考慮して,議決権保有比率10%超の場合には結合関係が生じ得るとする基準を維持することとしました。
したがって,議決権保有比率が10%超の場合であっても企業結合審査の対象となる場合があります。