令和7年12月9日
公正取引委員会
公正取引委員会は、ライバー事務所(注1)4社(以下「4社」という。)に対し、本日、次のとおり、4社の行為が、独占禁止法第19条(不公正な取引方法第12項(拘束条件付取引)又は第14項(競争者に対する取引妨害))の規定の違反につながるおそれがあるものとして注意を行った。
第1 4社に対する注意について
1 関係人

2 注意の概要等
⑴ア 4社はそれぞれ、「Pococha」と称するライブ配信プラットフォーム(注2)(以下「Pococha」という。)におけるライブ配信に係る株式会社ディー・エヌ・エー(以下「DeNA」という。)との取引額(注3)が上位のライバー事務所である。
(注2)DeNAが提供する、スマートフォン等において誰でもインターネット上でライブ配信を通して楽しむことを可能とする日本発の国内利用者数No.1のライブ配信プラットフォームであることをうたうプラットフォーム。
(注3)4社はそれぞれ、自社に所属するPocochaのライバーに対しマネジメントを行い、当該ライバーによるライブ配信活動により、DeNAから報酬を得ている。
イ 4社はそれぞれ、自社に所属するPocochaのライバーとの間で締結したマネジメント契約において、合理的な理由が認められないにもかかわらず、当該ライバーの移籍や独立を牽制する目的で、当該契約終了後一定期間、
(ア) ライブ配信活動を行うことの禁止
(イ) 他のライバー事務所との間でマネジメント契約を締結することの禁止
(ウ) 自社と同種の事業を営むことの禁止
の全部又は一部を内容とする旨の規定を設け、当該契約終了後における当該ライバーの事業活動を制限している事実が認められた(別表参照)。
⑵ ライバー事務所が、自社に所属するライバー(以下「所属ライバー」という。)との間で締結したマネジメント契約において、所属ライバーの移籍や独立を牽制する目的で、営業秘密等の漏えい防止の目的の達成のために合理的な必要性かつ手段の相当性が認められないにもかかわらず、所属ライバーの契約終了後の事業活動を制限する内容の規定を設けることにより、他のライバー事務所がより人気のあるライバーを容易に獲得できなくなる、所属ライバーが契約終了後新たにライバー事務所を立ち上げることが困難になる等の効果が生じる可能性があるところ、これらにより、他のライバー事務所又は新たに立ち上げるライバー事務所の取引機会が減少するような状態をもたらし、ライバー事務所間における公正かつ自由な競争に影響を与えるおそれがある。
⑶ 公正取引委員会は、前記⑴イの行為は、独占禁止法第19条(不公正な取引方法第12項(拘束条件付取引)又は第14項(競争者に対する取引妨害))の規定の違反につながるおそれがあるものとして、未然防止の観点から、4社に対し、注意を行った。
⑷ なお、本件審査の過程において、4社から、今後、前記⑴イに係る規定の内容を見直す予定である旨の申出があった。
第2 実態調査報告書及び指針を踏まえた取組
公正取引委員会は、音楽・放送番組等の分野の実演家と芸能事務所との取引等に関する実態調査を行い、令和6年12月26日に「音楽・放送番組等の分野の実演家と芸能事務所との取引等に関する実態調査報告書(クリエイター支援のための取引適正化に向けた実態調査)」を公表した。さらに、当該実態調査報告書を踏まえ、令和7年9月30日に、内閣官房との連名で「実演家等と芸能事務所、放送事業者等及びレコード会社との取引の適正化に関する指針」を策定し、独占禁止法及び競争政策上の具体的な考え方を示したところである。
公正取引委員会は、公正かつ自由な競争を促進する観点から、本件と同様に関連する分野におけるものを含め、実態調査報告書及び指針において指摘したような独占禁止法上問題となり得る行為に接した場合には、厳正かつ的確に対処していく。
関連ファイル
(印刷用)(令和7年12月9日)ライバー事務所を運営する事業者に対する注意について
(77KB)
(令和7年12月9日)参考1~5(過去の事例、参照条文等)
(171KB)
問い合わせ先
公正取引委員会事務総局審査局第三審査
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