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令和2年3月18日付 事務総長定例会見記録

令和2年3月18日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

[発言事項]

事務総長会見記録(令和2年3月18日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

独占禁止法教室について

 本日は私からは,独占禁止法教室についてお話しいたします。公正取引委員会では,中学生,高校生,大学生等を対象に,競争の意義や競争政策,独占禁止法,公正取引委員会の活動等を理解してもらうことを目的としまして,「独占禁止法教室」を開催しています。
 独占禁止法教室は,公正取引委員会の職員から学校側に開催を働きかけて,開催を希望する学校に職員が赴いて説明等を行っているものでありまして,全国各地で開催しています。
 独占禁止法教室は,令和元年度では2月末日時点で中学校57校,高校56校,大学・大学院120校で開催いたしました。
 大学・大学院の学生を対象とする独占禁止法教室の内容は,大学等の先生の御要望に基づいて決めておりまして,御要望によっては競争政策や独占禁止法の説明をするだけではなく,職員の体験談を中心にしてお話をするということもございます。また,留学生を対象にして,英語による説明を行ったりもしております。
 中学校,高校の生徒を対象とする独占禁止法教室での授業内容は,配布しております資料にありますように,市場における競争の必要性や競争による消費者のメリットにつきまして,生徒に関心を持って理解してもらいやすいよう,シミュレーションゲームを行っております。この他,先生にカルテルを行っている疑いのある事業者の社長役,生徒に公正取引委員会の審査官役に扮してもらって,立入検査や事情聴取を実演して,公正取引委員会の業務を理解してもらうということもあります。近年では,社会科の学習指導要領にも市場の働きについて取り上げられるようになるなど,日本の未来を担う世代の皆さんに,市場や競争の意義を知ってもらうことは極めて重要であると考えておりまして,公正取引委員会の多くの職員がそれぞれ工夫をしながら熱心に取り組んでおります。
 実際,独占禁止法教室の参加者へのアンケートでは,競争の意義について理解が深まったとする回答が,大学・大学院生では約85%,中学生・高校生は約95%と高い評価をいただいております。
 独占禁止法教室の授業風景につきましては,学校側の同意が前提とはなりますが,カメラ撮影や傍聴取材が可能でございますので,メディアの皆様にもぜひ取材していただければと考えております。
 独占禁止法教室を実施する際には,事前に報道発表しておりますので,取材を御希望される場合には,その報道発表資料に記載の問い合わせ先まで御連絡いただければと思います。
 私からは以上でございます。

質疑応答

(問) 楽天に関する件なんですけれども,今日付けで送料無料施策が始まったということなんですけれども,いろいろと混乱も一部生じているようですが,公正取引委員会として,強制力は引き続き当面はないと見ていらっしゃるのかということと,今日という日を迎えられたことの所感をお伺いできればと思います。
(事務総長) もう既に公表して,いろいろ御説明していることではありますけれども,3月10日に,東京地方裁判所に対して行っていた緊急停止命令の申立てを取り下げたということであります。これは,楽天のいわゆる「共通の送料込みライン」と称する施策につきまして,出店事業者が参加するか否かを自らの判断で選択できるようになるのであれば,当面は一時停止を求める緊急性が薄れると判断したというものでありまして,しかしながら,審査はまだ継続しております。今後,楽天の対応について確認,すなわち,出店事業者が今後も参加するか否か,自らの判断で選択できるということが確保されるのかどうか,出店事業者に不当に不利益を与えるというようなことはないのかどうか,そういうことをこれから確認していくということになろうかと思います。
 その上で,そうしたことが確保できるということであれば,審査の継続についても更に考えるということになるのではないかと考えております。

(問) 引き続き,楽天の送料の無料化の関係なんですけども,今日から楽天が,送料無料化に参加している店で買い物をするとポイントが5倍になるというようなキャンペーンをやっているみたいなんですけども,その状況はですね,送料無料化に参加していない店を割と追い込むような施策なのかなというところを感じたりもするんですけど,その辺の認識はどうお考えですか。
(事務総長) 前提として個別の案件ですので,それ自体についてどう思うというのを,私が今この場で言うことはなかなか難しいということでございます。先ほど申しましたとおり,判断のポイントとしては,出店事業者が参加するか否かを自らの判断で選択できるようになる,そういうことが確保されるのかどうかということであります。ですので,本日も含めた今後の楽天の対応,これを確認した上で,独占禁止法上問題があるかないかということを継続中の審査の中で判断していくことになろうかと思います。

(問) 話題が変わるんですけども,昨日,杉本委員長の後任の方に古谷さんのお名前が国会のほうに提出されましたけども,委員長と委員の定年について,政府の省庁の中で定年を設けているところは数少なく,公正取引委員会も数少ない省庁の一つだと聞いているんですけども,今後,公務員の定年も延長される中,問題として認識されているのか。例えば今後,独占禁止法を改正する折に,この定年を撤廃するなどの可能性はあるんでしょうか。
(事務総長) 現状,独占禁止法の規定では,正確な条文だと言い方が違うかもしれませんが,70歳になったところで退くということになっております。私の理解しているところでは,今のところ,それを変える,変えないという議論になっているとは考えておりません。

(問) 先ほどの楽天の話のポイント5倍の話で,一般論でいいんですけども,そういうのって差別的取扱いとかどうなんでしょうか。
(事務総長) 不当な差別的取扱いの禁止の規定というのが独占禁止法の中にありますが,それは条件が例えば多少違うから,すぐに違反というわけでもございませんので,正に行為の実態,市場の状況等を見ながら判断していくことになろうかと思います。同じく繰り返しですが,個別案件なのでなかなか申し上げにくいですが,少なくとも本件については審査継続中でございますので,継続中の審査の中で,そうした様々な点を含めて判断していくことになろうかと思います。

以上

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