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平成26年10月29日付 事務総長定例会見記録

平成26年10月29日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

平成26年度上半期における下請法の運用状況等及び今後の取組(平成26年10月29日公表資料)

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成26年10月29日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

平成26年度上半期における下請法の運用状況等及び今後の取組について

 本日は,私からはまず,お手元にお配りしております資料のうち「平成26年度上半期における下請法の運用状況等及び今後の取組」についてお話をさせていただきたいと思います。
 まず,概要の1ページ目,本文でいいますと2ページ目にグラフがありますが,下請法違反事件の処理状況が書かれています。平成26年度上半期におきましては,勧告を6件行ったほか,3,225件の指導を行ったところであります。また,本文の6ページ目には,親事業者が行った下請代金の減額分の返還など,下請事業者が被った不利益の原状回復について記載されております。平成26年度上半期におきましては,原状回復を行った親事業者は89名でありまして,下請事業者1,632名に対しまして,総額4億9266万円分の原状回復がなされたところであります。
 このように,平成26年度上半期におきましても,公正取引委員会は下請法違反行為に対しまして,迅速かつ効果的に対処をしてきたところでありますが,一方で,下請法の運用に当たりましては,違反行為の未然防止を図ることも重要でありますので,この観点から企業間取引の公正化へ向けた各種の施策を実施してきているところであります。
 まず,本文7ページ目にあります「第2 企業間取引の公正化への取組」に書かれておりますが,下請法等のより効果的な普及・啓発を図る観点から,例えば,下請法基礎講習会,下請法応用講習会,業種別講習会など,参加者の習熟度や業種に応じた各種の講習会を開催するなど,きめ細やかに対応してきております。中でも,下請法基礎講習会につきましては,本年度は全国47都道府県全てで開催することとしております。
 また,これらの講習会のほかに,中小事業者の方からの求めに応じまして,公正取引委員会の職員が地方に出向き,「中小事業者のための移動相談会」や全国の商工会議所,商工会が有します中小事業者に対する相談窓口,これを活用しました「独占禁止法相談ネットワーク」などを通じて相談受付等を行ってきているところであります。
 さらに,公正取引委員会は,中小企業庁と共同いたしまして,毎年11月を「下請取引適正化推進月間」といたしまして,この期間内に下請法の普及・啓発を集中的に行ってきております。
 本年も来月実施することとしておりますが,内容といたしましては,例えば,全国47都道府県,62の会場におきまして,下請法に関する講習会を開催することとしております。また,都道府県や商工会議所,商工会の各種団体に対しまして,ポスターの掲示や機関誌等への掲載による推進月間の広報等の協力を依頼することとしております。
 依然として,下請事業者にとっては厳しい経済環境が続く中,公正取引委員会としては,引き続き,下請法違反事件の未然防止に努めるとともに,下請事業者が受ける不利益が重大であると認められる場合には勧告を行うなど,迅速かつ効果的に対処することにより,下請取引の一層の適正化に努めてまいりたいと考えております。
 以上が,下請法の話でございます。

第36回公開セミナーについて

 もう1点,お手元に資料が配られていると思いますが,競争政策研究センター,CPRCが,先週金曜日,10月24日に「中国における独占禁止法運用について」というテーマで開催しました第36回公開セミナーについてお話をしたいと思います。
 皆様御案内のとおり,中国では,2008年(平成20年)8月に独占禁止法が施行されまして,それから6年が経過しましたが,最近はその運用事例も増加してきております。このような状況を踏まえまして,先週10月24日の公開セミナーにおきましては,欧州委員会競争総局での勤務経験があり,現在,ホーガン・ロヴェルズ法律事務所北京事務所で弁護士活動を行っておりますエイドリアン・エメク氏から,中国における独占禁止法の運用について御講演をいただきました。さらに,中国での弁護士活動の経験をお持ちで,現在は,高岡法科大学教授でいらっしゃるジャンサン教授からコメントをいただきました。お手元に,少し大部になりますが,お二人のプレゼンテーション資料及びお二人の方の略歴を配らせていただきました。お二人のお話の内容については,それを御参考いただければと思いますが,エメク氏からは,この資料に沿いまして,中国における独占禁止法の執行機関,3つあります,商務部,国家発展改革委員会,国家工商行政管理局の3機関の役割分担,競争制限的協定や市場支配的地位の濫用行為に該当するとされた個別事例,企業結合審査事例,さらに,中国の競争当局の国際的な協力の状況につきまして御説明をいただいたところでございます。
 その後,ジャンサン教授からは,お配りしてあります資料に沿いまして,リニエンシー制度を含めまして,中国独占禁止法の制度,運用状況の御説明があったところであります。
 お二人のお話の後,公開セミナーの参加者との間で質疑応答が行われました。残念ながら,時間の関係もあり,必ずしも十分な質疑応答が行われませんでしたけれども,中では,中国独占禁止法との関係で日本企業はどのような点に気を付けるべきかという質問がされました。これに対して,エメク氏からは,法律面,運用面の実態及びその変化に十分合わせたコンプライアンス体制を確立,運用していくことが重要であるとコメントがあったところであります。この公開セミナーに対しましては,弁護士の方,企業の法務担当者の方,大学関係の方,マスコミの方など,多数の方に御参加をいただいたところであります。今後とも,CPRCでは各種イベントの開催等を通じまして,競争政策に関するタイムリーな情報について,積極的に発信を行ってまいりたいと考えております。

質疑応答

(問) 下請法の上半期のまとめなんですけれども,この期における前年と比べた違反,実態行為の特徴などは特にありませんでしょうか。
(事務総長) 中身の詳細につきましては,配布資料にあるとおりですけど,全体的な数,あるいは全体的な統計についていえば,やはり指導件数がここ数年の傾向でもありますが,今年の上半期も去年に比してかなり増えている,その中でも買いたたきの行為が増えているということでございます。
 ただ,なぜそうなったかということについては,正確な要因分析をしておりませんので,確たることは言えませんが,中長期的に見れば経済状況が背景にあるでしょうが,去年と比して今年の上半期に,例えば指導件数が伸びた,あるいは買いたたきの件数が増えたということの原因については,我々の周知活動の成果,あるいは親事業者の側におけるコンプライアンス意識の向上等々いろいろあろうかと思います。私どもの印象としては,調査票,特に親事業者に対する調査票について,我々が調査の端緒として使えるような情報を,より多く得ることができるように,問いの仕方を,過去のいろんな経験に基づいて工夫させていただいた,より明確にして聞かれた親事業者が答えられるように形にして,それについて,我々が積極的に調査を行った結果が,こういうことになった1つの要因だと思っております。

(問) 下請法違反の関係なんですけども,今年4月に増税されて,これは半年で3,225件ということなんですけど,例えば,4,5,6月より7,8,9月の方が急激に増えたとかですね,そういった月ごとの変動というのはあるんでしょうか。
(事務総長) 案件ごとに問題の複雑さとかいろいろありますから,指導といってもそれなりに時間がかかる場合もあれば,簡単にできるものもありますので,月別の数字というものは,それほど意味があると思っていません。加えて,この平成26年度上半期,4月から9月までに指導した案件というのは,平成25年度の書面調査に基づいて我々がしたことでございますので,そういう意味では,書面調査をして,我々が親事業者,下請事業者から書面による回答をいただいて,それから調査をして指導するということでございますので,そういう意味でも,何か上半期の4,5,6月が,今の経済情勢でどうだというのは,あまり正確な議論になるとは考えておりません。

以上

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